日本を隅々まで変えるためのトランスフォーメーション
富士通
代表取締役社長CDXO
時田隆仁
取材・文/本多和幸、日高彰
撮影/松嶋優子
KeyPerson
2021/01/15 09:00
週刊BCN 2021年01月11日vol.1857掲載
2019年に発足した時田体制における具体的な変革の形が鮮明になった20年。新型コロナ禍という大きなアクシデントとともに歩んだ1年を経て、富士通はどこに向かうのか。今年6月に在任3年目を迎える時田隆仁社長に、再成長へのビジョンと戦略を聞いた。
過度に悲観せず
ポジティブな側面にも目を向ける
――2020年は大変な1年でしたが、富士通グループにも大きな変化がありました。7月には、富士通の社会における存在意義を「イノベーションによって社会に信頼をもたらし、世界をより持続可能にしていくこと」と定めて、全社員の行動指針「FUJITSU Way」も12年ぶりに改正されましたよね。新型コロナ禍を乗り越えるための取り組みだったのでしょうか。
FUJITSU Wayの改正などは、新型コロナ禍とは関係なく準備してきたことです。ただ、イノベーションによって社会課題の解決に主体的に貢献していくという我々のメッセージが、より重要な意味を持つ環境になったのは間違いないですね。コロナ禍は不幸な出来事ではありましたが、平時では難しいドラスティックな変革が可能になったというポジティブな側面にも目を向けるべきだと考えています。
――20年度(21年3月期)第2四半期の決算発表時点では、コロナの影響を加味しても営業利益は前年度比微増の見込みとのことでした。これは楽観的過ぎるということはないですか。
最終的な着地点は第3四半期、第4四半期の蓋を開けてみないと分からない、鮮明には見えてこないというのが率直なところですよ。ただ、お客様や市場を見ると、そんなに悲観的に考えなくてもいいとは思っています。富士通はラージアカウントのお客様に支えられている部分が大きいですが、昨夏はそうしたお客様にプロジェクトの延期や検討の中断といった動きがありました。これが徐々に復活してきています。
――そうした動きの中には、従来型のIT投資だけでなく、デジタルトランスフォーメーション(DX)のための新しい投資が加速しそうな兆しもあるのでしょうか。
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Profile
時田隆仁
(ときた たかひと)
1962年、東京都生まれ。88年、東京工業大学工学部卒業後、富士通に入社。システムエンジニアとして金融系のプロジェクトに数多く携わり、2014年に金融システム事業本部長に就任。15年に執行役員、17年にグローバルデリバリーグループ副グループ長、19年1月に常務・グローバルデリバリーグループ長に就任。19年3月、田中達也前社長の後任に指名され、6月から現職を務める。同年10月からはCDXO(チーフDXオフィサー)職も兼務している。
Company
会社紹介
1935年、富士電機製造(現・富士電機)の通信機器部門を分離して設立。60年代からコンピューターの製造を本格化し、日本を代表する電機メーカー、ITベンダーに成長した。近年はグループの抜本的な再編を進め、準大手から中堅・中小の民需、地方自治体、医療、教育の各分野を担当する事業部門や主要子会社を統合。2020年10月に富士通Japanを発足させた。19年度(20年3月期)の連結売上高は3兆8577億9700万円、営業利益は2114億8300万円。20年度の売上高は3兆6100億円(前年比6.4%減)、営業利益2120億円(0.2%増)を見込む。