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顧客に密着して共創を推進、開発は分散へ

SCSK 代表取締役執行役員社長/最高執行責任者

當麻隆昭

取材・文/安藤章司 撮影/大星直輝

2022/10/03 09:00

當麻隆昭

週刊BCN 2022年10月03日vol.1940掲載

 SCSKは、全国13カ所ある開発拠点を駆使した“分散開発”を推し進めている。核になるのは全国に500カ所余りある分室で、いわゆる客先に常駐する従来の開発スタイルから分散開発へと重心を移している。並行して分室を“顧客との共創の拠点”と位置づけ、顧客とともに価値を創造していくデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進役としての機能を一段と強化していく。また、ローコード開発ツールなどを盛り込んだ開発プラットフォーム「S-Cred+(エスクレドプラス)」を駆使し、生産性の向上を加速させる考え。来年度(2024年3月期)から始まる次期中期経営計画の期間中に全体の3割にS-Cred+を適用していく方針だ。
(取材・文/安藤章司  写真/大星直輝)

“共感経営”で実行力を高める

――今年4月の社長就任から半年余り、當麻さんは機会あるごとに“共感経営”を目指すとのメッセージを発しています。どのような狙いがあるのでしょうか。

 会社として掲げている経営理念や、事業部門の展望について、従業員一人一人が腹落ちして“共感”しないと、本当の意味で浸透しません。絵に描いた餅では実行力も乏しいですよね。健やかで、健全な「ウェルビーング経営」を実践するには、従業員全員が“共感”できる環境を整える必要があります。従業員エンゲージメントを高めると言い方を変えることもできます。トップに就いてからは、役員や事業部門の責任者を交えて、共感経営を推し進めていく大切さをより深く理解してもらえるよう話し合いを続けています。

――共感経営の中長期的なスパンにおける重要さは理解できましたが、足元の売り上げや利益を上げるのに即効性はあるのでしょうか。

 その質問に答える前に、私の抱いている課題感についてお話します。われわれSIerは顧客の求める情報システムの開発や構築を請け負ってきました。電気やガスと同様、わが国の社会経済を支えているという誇りと自負をもっています。そこに揺らぎはないのですが、それだけでは十分でないと考えているのも事実です。

 電気やガスが止まるとクレームの嵐が巻き起こるように、情報システムが停まると叱責されます。正常に動いていて当たり前ですので当然のことですが、そればかりだとどうしても後ろ向きになってしまいます。怒られないよう保守的になり、新しいことをやろうとする気概が育たない、と私は感じています。

――つまり、従来の請け負い型の開発や構築では、どうしても減点主義になってしまい、従業員の皆さんが共感するどころか、新しいことをやろうとする意気込みも萎縮しかなねいということですか。

 私たちは世界最先端のデジタル技術を売りにしているSIerですので、その技術を使って顧客のビジネスをもっと盛り上げていきたい。顧客の売り上げや利益を伸ばすのに役立ちたいと考えています。それが当社従業員のより一層のやりがいにつながりますし、モチベーションを高めます。この部分をもっと大きく育てていかないと従業員の共感は得られず、顧客の業容拡大に一段と役立つことも難しい。

 「当社の売り上げや利益に即効性はあるのか」との問いですが、従業員のモチベーションが高まり、経営理念や事業部門の展望に共感しやすくなるのであれば即効性は十分にあると私は考えています。
この記事の続き >>
  • 常駐開発から分散開発へ軸足
  • 独自開発の「S-Cred+」適用率を3割に

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外部リンク

SCSK=https://www.scsk.jp/