ソニーの木村敬治執行役員(モーバイルネットワークカンパニーNCプレジデント)は、「2002年、家庭用パソコン市場は大きな『転換期』を迎えることになる」と予測する。01年、家庭用パソコン市場が前年比で1-2割縮小し、業界の一部には「以前のような2ケタ成長はあり得ない」という諦めムードもある。このような状況下、木村執行役員は、「家庭用パソコンに対する顧客の期待感は、落ち込むどころか逆に高まっている。ただ、以前の期待感とは内容が大きく変わっているだけ。われわれ業界は、パソコンのあり方そのものを勇気をもって変えていく必要がある」と、変革を喚起する。「家庭用パソコンは年間出荷400-500万台そこそこで止まってしまうということは絶対にあり得ない。次の大きな成長を前にした『転換期』に過ぎない」と断言する。

 01年、家庭用パソコン市場が前年割れするなか、ソニーは着実にシェアを伸ばした。国内でこれまで苦戦してきたデスクトップにおいても、年末商戦期には台数シェア30%以上を獲得。金額シェアは台数を数ポイント上回る好調ぶりだ。

 デスクトップが全体の8割を占める北米市場でもシェアを伸ばした。北米店頭販売で、ソニーは20%前後のデスクトップ台数シェアを獲り始めている。金額シェアではトップ集団のコンパック・コンピュータとほぼ並ぶ勢いにまで拡大。北米デスクトップ市場で、唯一2ケタシェアをもつ日本メーカーとなった。01年4月-02年3月の出荷計画である国内180万台、世界全体で390万台は、「上方修正することはあれ、下方修正することはないだろう」と手応えを感じる。

 木村執行役員は、「01年、国内の家庭用パソコン市場は惨憺たる結果だったが、冷静に考えてみると、今ほど良い条件が揃っている時期はない。ADSLやケーブルテレビの常時接続が急拡大し、無線インフラも整備されつつある。デジタルカメラやデジタルビデオなどのデジタル機器も充実し始めており、利用者のパソコンに対する期待感は高まっている。02年、パソコンの用途はさらに拡大し、市場も大きくなる。もしパソコン業界がまた前年割れするような結果になったとしたら、これは『消費不況』が原因ではなく、業界の『努力不足』が原因である」とまで言い切る。

 ソニーが提唱するパソコンとAV(音響・映像)との融合は、予想以上の速さで進んでいる。「日本では、テレビ映像をパソコンで録画する『ギガポケット』や、デジカメ、デジタルビデオなど、映像系の機器とパソコンとの融合が進んでいる。一方、米国ではステレオコンポとの融合が急速に進んでいる。国によって、融合の切り口は違うものの、世界規模でAVとの融合が急速に進んでいる」と指摘する。

 米国では、パソコンをステレオコンポとして使う比率が日本よりも断然高い。「米国の子供たちは、ラジカセはもっていないが、パソコンを使うことで事足りている。ナップスターが爆発的に広がったのも、実はこうした背景がある」という。

 ソニーは、ステレオコンポとの融合の次の施策として、01年下半期から、ギガポケットなど映像系との融合を北米で進めており、デジタルビデオの普及促進も推進していく方針。

 「欧州は01年、MDが完全に定着した。しかし、米国のように音楽をパソコンで聴いているかと言えば、そうではない。02年は欧州市場向けに、日米とは違う切り口でAVパソコンの用途提案をする。台湾、韓国などアジア地域の需要動向は、日本と非常によく似ており、デジタルビデオなど映像系の切り口でいける。いずれにせよ02年、家庭用パソコンは『国内だけ』とか、『米国だけ』という枠組みでは語れないほど、世界規模で大きな変化を遂げる」と、バイオの世界展開に自信を示す。

 02年は、国内でのソニー・バイオ発売5周年に当たる節目となる。バイオ戦略の方向性を決めていく上でも、重要な年となりそうだ。