2002年はデルコンピュータにとって、日本市場参入から10年目を迎える年である。全製品カテゴリー、全顧客セグメントで顧客満足度ナンバーワンを最大の目標とし、同時に国内パソコン市場シェアトップ3入りを目指す。そのためにはビジネス市場の拡大はもとより、コンシューマ市場のシェア拡大が大きなポイント。浜田宏代表取締役社長兼デルコンピュータ・コーポレーション副社長は、「現在、企業向けが出荷台数の90%以上を占めているが、02年度はコンシューマ市場でもデル・ジャパン独自のビジネスモデルで顧客獲得を強化する」と意気込む。

 「01年はデルにとって、第3の成長期だった」と浜田社長は言う。

 第1の成長期は日本市場の立ち上がり時期。第2の成長期は日本法人のオフィスが川崎市(神奈川県)に移転した時期である。そして01年、同社の売り上げは、第2四半期(4-6月期)に前年同期比5.9%増、第3四半期(7-9月期)に同7.1%増を記録し、「法人、個人ともに堅調な伸びを示した。」

 電子情報技術産業協会(JEITA)の調べによると、国内ハードメーカーのパソコン出荷台数は対前年比で平均30%減という厳しさだったが、同社は平均40%増と、「マーケットとの差が(出荷台数で)50-60%はあったのではないか」という。

 これらの要因はどこにあったのか。

 浜田社長は、「デルのビジネスモデルが功を奏したのが最大の要因。顧客満足度の向上を目指して構築したビジネスモデルであるがゆえに、安くて、良い物を買う購買層が拡大するに従い、デルのビジネスモデルが威力を発揮した」とみる。

 リピート率は実に「80%以上」という。同社のビジネスモデルにおいては、他社製品よりも「10-20%は安価に製造できる」。それは製造原価だけの問題ではなく、経営全体によってもたらされている。

 「徹底したローコスト経営から生まれる。実際、販管費は他社と比較しても30-50%は下回る」。そして獲得した利益は、顧客サポート、例えばコールセンターの増強などに投資する。広告費も減少の一途を辿っている。

 02年は、これまで法人市場で威力を発揮したこのビジネスモデルをコンシューマ市場に拡大し、シェア獲得を狙う。

 現在はコンシューマ市場に向けて、パソコン専門店の店舗内で顧客から予約注文を受ける製品展示スペース「デル・リアル・サイト」を全国に16か所で展開している。

 02年には書店やCDショップなど、パソコン専門店以外の店舗でデル・リアル・サイトの展開を行っていく。

 第一弾として今月11日から10日間の期間限定で、三省堂書店神田本店内にデル・リアル・サイトを設置している。

 「今後、パソコンはさらにコモディティ化が進む」と浜田社長は言う。さらに次の段階では、サーバーやストレージもコモディティ化の波に飲み込まれる。そこで重要となるのは、買い易さ、サポート力、メンテナンスの容易さ、携帯性など。このような製品について「強みを発揮するのがデルのビジネスモデル」であるとする。

 ほかのハードメーカーが提唱している家庭内ネットワーク環境を統合する「ホームサーバー」のような製品について、浜田社長は「確かにそういう製品が出てくるかもしれない」としながらも、「最新技術は3-6か月で必ずキャッチアップされるもの。技術先行でユーザーのニーズを無視する危険性は犯せないし、R&Dに莫大な予算を割いて盤石な財務体質をもつ企業は一体いくつあるのか」とし、ホームサーバー開発競争に対し「まったく興味はない」と言い切る。

 ホームサーバー需要が拡大し、利益確保のめどがついた段階で参入しても遅くはないというわけである。

 それよりも、まずパソコン、サーバーの分野で国内マーケットシェア3位入りを目標にする。

 「しかし、これはより大きな目標を達成するための通過点に過ぎない」。同社が目指すのはあくまで「顧客満足度の追求」のみである。