ニュース

リードテック IPテレビ電話事業に進出

2002/01/28 16:06

週刊BCN 2002年01月28日vol.926掲載

 台湾ビデオカード大手のリードテック(盧崑山社長)は、IPテレビ電話の開発に経営資源を集中する。同社は、売り上げの93%をパソコン用ビデオカードで占めているが、3年後にはIPテレビ電話の売上比率を50%に高める。盧社長は「IPテレビ電話は、今年から本格的に立ち上がる新規市場。品揃えを一気に増やし、売り込み攻勢をかけることで市場シェア30%を獲り、先行者優位の座を手に入れる」と鼻息が荒い。国内では、すでにNTT-MEが同社のIPテレビ電話の販売を始めており、海外では通信事業者を中心に引き合いが多いという。

市場シェア30%を目指す

 リードテックの昨年度(2001年12月期)の全世界における売り上げは、前年度比22%増の52億6000万台湾元(日本円で約210億円)、経常利益は3億台湾元(同約12億円)と、パソコン出荷台数が伸び悩むなかでも堅調に推移している。

 盧社長は「ビデオカードは、パソコン業界だけの商材で、浮き沈みが激しい。IPテレビ電話を切り口に一般家庭に入り込むことで、持続的な成長を維持できる基盤をつくる」と、ビデオカード市場が縮小したときに備え、IPテレビ電話を早期に立ち上げることで切り抜ける考え。

 IPテレビ電話とは、LAN端子を付けたテレビ電話のことで、家庭や事務所にあるブロードバンド(BB)ルータのLAN端子に取り付けることで、音声と映像による会話ができる。IPビデオ電話とも呼ばれる。

 これまで、テレビ電話は一向に普及しなかったが、ADSLが登場し、無料で音声による通話が可能になった今、世界規模でIP電話が普及する兆しが見え始めている。国内では、ヤフーBBがいち早く「BBフォン」を発表し、注目を集めている。ヤフーBBは、現在、音声のみだが、これに映像を加えたのがIPテレビ電話だ。

 国内ではNTT-ME、海外では仏アルカテルと中国におけるデジタル総合サービスの一環として、リードテックのIPテレビ電話端末の採用が決まっているという。

 盧社長は、「各家庭に光ファイバーを敷設する計画は、世界主要国でほぼ同時に進んでいるものの、現段階では、どの通信事業者もADSLをBB回線として使うケースが多い。当社のIPテレビ電話も、当面はADSL用のテレビ電話として売り込む」と、当面はADSLの大きな流れのなかで、販路開拓を進める方針。

 韓国サムスングループなど、半導体や液晶パネルをもつ事業者も、IPテレビ電話への進出に意欲を示しており、手強い競合になるのは間違いない。「ここ半年で一気に商談をまとめ、今年度、世界IPテレビ電話端末のシェア30%の獲得を目指す」と意気込む。

 IPテレビ電話は、音声や映像を伝送する基幹網や、この基幹網を支えるルータやスイッチといった大型通信機器と連動し、初めて機能する端末。

 リードテックでは、事業系通信機器の領域には進出せず、ビデオカードで培った独自の映像処理技術とIP電話を組み合わせた“端末”を中心に手がけていく。

 「交換機をもつ既存電話会社も、IP電話からの音声を固定電話や携帯電話につなぐゲートウェイや課金システムの構築を始めている。ここ3-5年のあいだで、IP電話やIPテレビ電話は、一気に普及する」と期待を寄せる。

 今年度(02年12月期)は、まだビデオカードが売り上げの過半を占めるものの、IPテレビ電話の受注が増える見通しも踏まえ、前年比30%増の70億台湾元(日本円約280億円)を見込む。

 アドレスはhttp://www.leadtek.co.jp/。
  • 1