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米プライムツリー 日本法人を設立 企業内ポータルの販売を積極化

2002/03/11 11:00

 ポータル(窓口)ソフト開発の米プラムツリーソフトウェア(ジョン・クーンズ社長)が売り込みを強化している。同社は、3月に日本法人、プラムツリーソフトウェア・ジャパン(実吉弓夫社長)を設立し、ポータルソフト「コーポレートポータル4.5」の販売を始めた。

 ポータルソフトとは、UNIXやメインフレーム、ウィンドウズといったサーバー群に散らばる情報を、ブラウザ上に見やすく整理して表示するソフト。企業で使う場合は、「企業内ポータル」と呼ぶ。例えば、個々の社員が電話帳、検索エンジン、顧客情報、ウェブ新聞、営業データベース、グループウェアなどの情報を、自分の使い勝手の良いようにポータル上に配置。IDを入力すると、まずそのポータル画面を表示するようにする。

 価格は社員数1000人規模の場合で、構築費を含め3000-5000万円程度。使用許諾は売り切りで、保守料は年間で価格の20%となる。国内での代理店は伊藤忠テクノサイエンスやコンパックコンピュータ、東芝情報システムなどで、日本法人の設立を機に、社員数1000人以上の企業を対象に売り込みを積極化する。

 ポータルソフトそのものの価格は、それほど高くないものの、サーバーにある情報をウェブ上に引き出す“つなぎ込み”の構築作業で費用がかかる。逆に見れば、販売を請け負う販社は、この構築部分で収益を得られる仕組みになっている。

 このポータルは、企業内だけを対象にしたものではない。自治体や一般消費者向けにサービスを提供するウェブウェブサイトでも使える。欧米では、300件の導入事例がある。今年初には、メリーランド州の運営する公式ウェブ(http://www.maryland.gov/)が、同ポータルを採用した。交通、税務、天気など、州がもつ情報を分かり易く表示し、将来的にはIDで個々の住民に最適化した画面づくりもできる。

 クーンズ社長は、「当社のポータルを採用したスポーツクラブでは、会員がIDを入力すると、『マイ訓練メニュー』、『マイ栄養管理』といった個別の情報をウェブ上に表示する。つまり、企業内、自治体、会員向けウェブなどを問わず、あらゆる情報を分かりやすく整理して表示し、個々に最適化した情報を提供できる。また、規則正しい操作手順で使い勝手が良く、効率的などの点において利用価値が高い」と胸を張る。

 企業内ポータルに限定していないにも関わらず、あえて“コーポレート(企業)ポータル”と名付けたことについて、クーンズ社長は「個人会員向けのポータルを開発する会社で、成功しているところは少ない。企業ポータルの切り口で売り込んだほうが収益に結びつきやすい。この応用として自治体や個人会員向けのサービスを提供している企業にも売り込む」と説明する。
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