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ブロードバンドコム マンション向けに高速無線接続を提供

2002/03/18 11:00

 

 FWA(加入者系無線通信アクセス)を介したブロードバンド接続が関心を高めるなか、FWAと無線LANの組み合わせによる高速無線接続がマンションを中心に急速な立ち上がりを見せている。

 広島市をテリトリーとするブロードバンドコム(久保允誉社長)は、昨年1月に開始した高速常時接続「EnjoyWave(エンジョイウェーブ)」の末端サービス速度を昨秋から10Mbpsに向上、一戸建てに比較して制約の多いマンション居住者を中心に需要が急増した。

 ブロードバンドの回線として無線を選択したのは、「今や都市住民の過半数を占めるマンション世帯のブロードバンド化が遅れている」(松下亮二企画部長兼営業推進部長)との認識から、マンションで手軽に導入できるブロードバンドを模索したことがきっかけ。

 「ラストワンマイルへの光ケーブル実用化はまだ先。今後のさらなる高速化を考えると、ADSLでは技術的な限界がある」ことから、幹線から末端サービスに至るまで一貫して無線によるブロードバンドを実現した。

 まず幹線となる基地局同士は、22GHz帯の対向型FWAによるMAX156Mbps接続として、基地局から個別マンションまでは2.4GHz帯無線LAN「AIRPORT-LAN」によって実用コストでの11Mbpsを実現した。約21棟のマンションを1グループとしてネットワークを構築した。

 広島の家電大手デオデオを筆頭株主とする同社のアプローチはあくまでもコンシューマ対象であり、グループ企業でCATV事業をも手掛けていることから、マンション世帯へのブロードバンド普及が最大の目標だった。

 この1年間に広島市内ですでに100棟を上回るマンションでの稼動が実現しており、各マンションにおける加入率も向上した。加入率はマンションによってさまざまだが、「15%を超えた時点で急速に普及する」傾向は共通している。

 マンションにとっては付加価値となることから、最近はマンション経営者からの引き合いが高まっており、「点としてのマンションと、面としてのコンシューマ」への両面戦略が功を奏している。

 マンション世帯への無線によるブロードバンドサービスは、「コストを含む実用性を考慮した現時点での最善の選択」との判断だが、「無線はあくまでも1つの要素技術。今後の環境変化次第ではほかの選択肢も十分にあり得る」としている。
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