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サン、マイクロソフト 「Sun ONE」と「.NET」で激しく対立
2002/03/18 11:00
スコット・マクネリ会長、MSを批判
サンとマイクロソフトの確執は根深い。サンのSPARCプロセッサ+Solaris戦略と、インテルプロセッサ+ウィンドウズ陣営との長い争いは、いまだ終結を迎えていない。しかも、ここにきてサンの提唱する「Sun ONE(Sun Open Net Environment)」と、マイクロソフトの「.NET」という、新たな戦いの火蓋が切って落とされようとしている。マクネリ会長兼CEOは、現在のコンピューティング環境は「Sun ONE」と「.NET」に収斂されたとしたうえで、「『Sun ONE』はオープンインターフェイスだが、『.NET』はクローズドでプロプライエタリなインターフェイス。また『Sun ONE』は64ビットで、『.NET』は32ビットだ」と、「Sun ONE」の優位点を強調した。
マイクロソフトも黙ってはいない。ボタン開発ツール担当副社長は、「私たちはサンを主要な競争相手とは考えていない。マクネリ氏は技術的な優位点がないために、口で攻撃しているだけだ。『Sun ONE』に『.NET』より優れた点は何もない」と切り返した。
サンにとって、ソフトウェアの開発面で最大の強敵がマイクロソフトだとしたら、ハードウェアのライバルは巨人・米IBMだろう。マクネリ会長兼CEOは、マイクロソフトとの戦いを「空中戦」に例える一方で、IBMとの競争は「地上戦」とした。
そのうえで、「サン対IBMグローバル・サービスという構図が成り立つ。IBMはアーキテクチャではなく、自らの兵隊を使って闘おうとしている。IBMは自分たちのものしか提供できないが、サンは違う。結局、サンはIBM、マイクロソフトという人類の敵と闘う反乱軍みたいなもの。この戦いはこれまで20年間続いてきた」と、マイクロソフトに続いて、IBMをも厳しく批判した。
マクネリ会長兼CEOが自ら記述したサンの「BWTS(Big Web Tone Switch)」と呼ばれる機器の概念では、垂直型コンピューティング(V)、水平型コンピューティング(H)、ストレージ(S)の3つを「Sun ONE」と「N1」で挟んだ図ができあがる。
このうち、「Sun ONE」は開発環境であり、「すべてのデベロッパーが『Sun ONE』を基準としてプログラムを書く」(マクネリ会長兼CEO)ことになり、SPARCプロセッサ+Solaris戦略の軸となるのは垂直型コンピューティング(V)の分野、ブレードサーバやLinuxを搭載したウェブアプライアンスの「コバルト」、「ネトラ」などは水平型コンピューティング(H)に、シーゲートや富士通からOEM供給を受けている製品はストレージ(S)のカテゴリに含まれる。
これらのハードウェアを、開発環境(Sun ONE)とシステムインテグレーターの領域である「N1」で包み込む形である。これら全領域がサンにとって研究開発の分野であり、「年間平均20億ドル」(同)の投資を充てている。これは同社売上高の約12-13%を占める。もっとも、ネットバブルの崩壊により、毎年同レベルの開発費を計上する同社の財務体質を危ぶむ声もある。
2002年度第2四半期(01年10-12月期)の業績は、売上高31億800万ドルで、第1四半期(同年7-9月期)比9%増となったが、前年同期と比べると39%の減少となっている。
だが、マクネリ会長兼CEOは、「当社は6億ドルのキャッシュをもっており、健全な財務状況だ」と強気の発言で、市場の懸念を一蹴する。あくまでオープン環境に固執し、プロダクトカンパニーとしてのサンに執着するマクネリ会長兼CEO。創業20周年を迎えた今年、その舌鋒の鋭さは衰えるどころか増しつつある。
だが、ハードウェアからソリューションを提供できるベンダーへと体質を変えられるかどうかが、大きなカギになる。
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