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日本SGI 社員のスキルアップ戦略 キャリア開発の責任は個人にあり

2002/03/25 11:00

 

 日本SGI(和泉法夫社長)は、社員のスキルとして3つの要素を求めている。(1)SGIプロダクトのテクニカルスキルに興味があるか、またはその理解力を有しているか、(2)アプリケーションスキルを身につけているか、(3)専門インダストリー(金融・製造・流通など)の知識・ノウハウを身につけているか──の3点だ。新入社員採用の最低条件は(1)であるという。 (2)、(3)を求めるのは新入社員には困難過ぎるからだ。

 人事教育本部・石渡晋太郎取締役本部長は言う。「現在、当社には約200人のエンジニアがいる。(2)まで達成できているのはこのうち全体の40-60人程度だろう。(3)にまで到達しているのは、20人程度ではないか」。つまり、非常に厳しい要求を課しているのである。

 このようなスキルの積み重ねは、「資格を獲得すればできるものではない」と石渡本部長は言う。「確かにソフトの開発会社では必要かもしれない。しかし、当社のようにシステムを全体として設計し、細かい作業は下に落とし込んでいく企業では、どのような資格があるかは直接ビジネスに結びつく要素ではない」と断言する。

 もちろん、スキルの積み重ねに、資格獲得のための勉強は役に立つかもしれない。あるいは、資格そのものも役立つかもしれない。しかし、実践に結びつかない知識は、ビジネスの現場では何の役にも立たないのが実状である。

 日本SGIでは、「キャリア開発の責任は個人にある」(石渡本部長)という方針だ。キャリアアップは企業に属する人員の仕事の一貫であるという認識である。

 もっとも、完全な放任主義ではない。

 同社は年間15日間の「教育受講日数」という制度を全社員対象に設けている。この15日間は、自己研鑽のためなら何をしても良いという期間。短期留学することもできるし、学習機関に通うことも可能だ。

 この間の活動は、人事部に文書で報告しなければならないという制約はあるが、それ以外は個人でスキルアップ計画を設計できる。

 新入社員には3か月間の研修後、年1回のインダストリー別研修を4年間にわたり実施する。これは、個人個人を単なるエンジニアではなく、プロダクトマネジメントを実質的に行える人員へと育てるためのプログラムになっている。中途採用者についてもこの制度は適用される。石渡本部長は「もっとシステマティックにコースを整備することが今後の課題」と話す。
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