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リーテム ノートPCリサイクル難航

2002/04/08 16:15

週刊BCN 2002年04月08日vol.936掲載

 

問題は液晶パネルなど

 ノートパソコンのリサイクルが難航している。合成樹脂や特殊合金が多く、素材のリサイクルが難しいためだ。液晶パネルの素材リサイクルも難しい。素材リサイクルとは、細かく砕いた破片を精錬所で溶かし、鉄や希少金属を取り出す手法。この点、デスクトップはノートに比べ、鉄などの取り出しやすい金属が多く、素材リサイクルがしやすい。また、金属を抽出して販売するリサイクル事業者から見ても「ノートパソコンは収益性が悪い」商材だ。

 電子機器のリサイクルを手がけるリーテム(中島賢一社長)の中島彰良取締役は、「ノートは複合化した素材が多過ぎる。小型軽量化するのはいいが、もう少しリサイクルしやすい工夫はできないものか」と嘆く。

 家庭用パソコンのリサイクルを審議した経済産業省の産業構造審議会では、デスクトップパソコンの資源回収目標を50%に設定した。これに対し、ノートの目標は20%に設定した。中島取締役が指摘するように、「複合化した素材」が多いため、素材の回収が難しいと判断したためだ。

 富士常葉大学流通経済学部の竹居照芳教授は、「ノートの資源回収比率も、せめてデスクトップ並みに上げるべきではないか。資源回収目標が20%しかないのでは、回収に協力した消費者が納得しない」と注文をつける。

 横浜市環境事業局事業推進部ごみ政策課の深見啓司課長は、「粗大ゴミでノートパソコンが出てくることはほとんどない。デスクトップは、さすがに大きいので粗大ゴミで出てくるが、ノートのほとんどは不燃ゴミに混じって出てくる」と指摘。

 一度、混じってしまうと、自治体では埋めるしか方法がない。これでは、ノートパソコンの回収段階から問題が生じてくる。

 リーテムの中島取締役は、「ノートで問題なのが、液晶パネルの素材リサイクル。現段階では、猛毒のシアン化合物や毒性が強い砒素(ひそ)、鉱毒問題を起こす水銀などが漏れ出さないよう『無害化処理』で対処している。まだ、素材リサイクルまで至っていないのが現状だ。この点は、電子情報技術産業協会(JEITA)の担当者と意見交換しながら研究を続ける」と話す。

 リサイクル事業者の“ビジネス”にとってもノートは頭が痛い問題だ。「われわれは『部品の取り出し』、『細かく粉砕処理する手数料』、『破片を精錬所で溶かし、抽出した金属の販売』で収益を得ている。このうち粉砕処理は『処理費用』としてお金をもらっているが、これだけでビジネスを成り立たせるのは困難。鉄や貴金属を抽出し、メーカーなどに販売してこそ利益がでる」(中島取締役)と話す。

 まずは、ノートパソコンをいかにリサイクル施設まで回収するかという仕組みづくりが重要だ。

 リーテムのアドレスは http://www.re-tem.com/。
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