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揺れるオラクル データベース市場でIBMに抜かれる

2002/05/20 16:18

週刊BCN 2002年05月20日vol.941掲載

 

 大手データベース会社オラクルの王者としての地位が危ぶまれている。IBMがデータベース市場でのマーケットシェアを奪ったことや、同社がカリフォルニア州政府からの受注をうけたあと、賄賂を渡していた疑いがあるというニュースが流れた為である。オラクル本社のあるシリコンバレーの住民の動揺は大きい。

 ここ数年、データベース業界の頂点に立ち続けてきたオラクル。しかし、2001年の売り上げでIBMがトップの地位についた。これはIT調査会社であるガートナーグループが発表した数字だが、このニュースはまたたく間にシリコンバレー中を駆け巡り、この地域の多くの住民がショックを受けた。

 両社の競争はここ10年ほど続いており、オラクル優位という風潮が当たり前になっていた。しかし、00年の終わりにIBMがインフォミックスを買収したことで、IBMがオラクルの地位を抜くきっかけを作った。01年にはIBMのマーケットシェアが3%伸びて34.6%に上がったとされている。一方のオラクルは、そのシェアを34%から32%に落としてしまい、業界1位のポジションを奪われてしまった。

 ネットバブルが崩壊してもその地位は揺るぎないものと信じられていたオラクルのマーケットシェアがIBMに抜かれた理由がもう1つあると、ガートナーグループのアナリストは述べている。

 それは、オラクルの課金方法が結局高くつくということであった。同社は製品導入後もその使用料をチャージするシステムをとっており、これがユーザーから大きく嫌われたようである。

 実はこのニュースが流れる直前、オラクルがカリフォルニア州政府から契約をとったあと、政治家に献金をしていたという事実が発覚してしまった。州政府で働く数人の政治家が数万ドルずつ受け取っていたと公表されている。この中にはデイビス・カリフォルニア州知事も含まれていることから、大きなスキャンダルになってしまった。

 これに関しては、各政治家のキャンペーンに使われる寄付金という意味合いの説明が出ている。しかし、オラクルの納品契約が決まった直後に金が渡ったというのが、あまりにもタイミングが悪く、カリフォルニア州民の怒りから免れることはなさそうである。

 州政府はオラクルとの契約をキャンセルすることで、この事件の解決を急ぐ方針だが、同社のコーポレートイメージに大きなダメージを与える結果となってしまった。

 ガートナーのアナリストは、オラクルのセールスマンたちがアグレッシブなのも同社の敗因要因になっていると新聞のインタビューで答えていた。

 IT不況に入った今年も、オラクルのセールスマンたちは血眼になって売り上げを伸ばすことだけを考え、ただ営業し続けなければならない運命にある。この結果、アグレッシブという言葉が、「積極的」という良い意味にとられることはなく、残念ながら「押しつけがましい」という風にとられてしまったようである。

 今年後半のオラクルの名誉挽回対策が多いに注目される。(飯田仁子)
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