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ニフティ 3人同時にビデオチャット アイボール・パティオ・ライト

2002/05/27 16:18

週刊BCN 2002年05月27日vol.942掲載

 

 ニフティは、ビデオチャットサービスを開始した。サービス名は「アイボール・パティオ・ライト」。カナダのアイボールネットワークス(クリス・ピシェ社長、本社バンクーバー)の技術を採用した。アイボールは97年設立で、すでに本国カナダでは数社のプロバイダに同様のビデオチャット技術を提供している。また米国や英国へも技術輸出している。日本のプロバイダ大手への技術供与は、今回が初めて。

 今回のビデオチャットは、3人が映像を交えて、同時に会話できるというもの。ひとりあたり月額500円で利用できる。すでにヤフーメッセンジャーやウィンドウズメッセンジャーなどが無料のビデオチャットサービスを始めているが、「既存サービスよりも大幅に品質を高められたことを受けて有料化に踏み切った」(ニフティサービス企画統括部コミュニティ部・鈴木孝充部長)と話す。

 今後3か月以内に1万人の利用者を集め、本サービスのみで月額500万円を売り上げる。主にADSLなどブロードバンド(BB)回線を使ってニフティを利用している顧客を対象に売り込む。

 同サービスを利用するには、小型カメラ(実売5000円前後)を装着する必要がある。ニフティでは、周辺機器メーカーのロジクールなどと協力し、小型カメラの売り込みにも力を入れる。

 鈴木部長は、「ADSLなどBB回線でのニフティ利用者は現在20万人。今年度末(03年3月期)には75万人に増える。ビデオチャットは、BB利用者全員に使ってもらえるよう告知活動に努める」と意気込む。

 ニフティでは、すでに音声のみのネット電話サービス「ゴーツーコール」を5か月前から始めているが、現在の利用者数は1万2000人と伸び悩んでいる。

 ニフティの渡辺武経社長は、「ネット電話利用者は、本来ならもっと伸びるべきサービス。今回のビデオチャットとともに拡販に注力する」と、音声映像系の通信サービスを重視する。

 アイボール・パティオ・ライトは、①プライベートIPアドレス同士の端末でも通信できる、②PtoP技術(サーバーを介さず、端末同士直接接続する技術)を使うことで、同時接続数が1万人に達しても映像や音声の品質が落ちない――などか特徴。

 家庭や事務所のパソコンの大半はプライベートIPしかもっておらず、これがビデオチャット通信の障害になってきた。マイクロソフトのウィンドウズメッセンジャーでも、この点が問題となった。アイボールは独自の通信技術を使うことで、この“壁”を突破したという。

 アイボールのピシェ社長は、「『アイボール・パティオ』サービス形態はニフティのみとの独占契約である。しかし、当社の基盤技術に関しては、ほかのプロバイダやPDA(携帯情報端末)向けの新しいサービスとして提供する可能性は十分にある」と、他社への技術の売り込みに余念がない。

 アイボール・パティオ・ライトは、同時に3人しか会話できないが、今年8月をめどに、さらに多くの人たちが同時に会話できるサービス「同プロ」を始める。

 アイボール・パティオのサービス企画は、コンテンツ開発プロハウス(徳永隆也社長)が担当した。徳永社長は、「今後、ネットワークゲームと連動させるなど、積極的な利用提案をすることで普及促進を図る」と話す。

 アドレスはhttp://eyeball.nifty.com/
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