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ネットワーク応用通信研究所 オープンソース方式による業務システムの受注に注力

2002/07/01 16:24

週刊BCN 2002年07月01日vol.947掲載

 従来、ハード・ソフトメーカーは、自社ソフトの中身を“非公開”にすることで、後々のサポートサービスやハードの追加増設などの利権を得てきた。利用者は、一度、特定企業から情報システムを購入すると、その後も、特定企業に有料サポートや機能拡張の面倒を見てもらう必要がある。

自治体などから支持

 ネットワーク応用通信研究所(井上浩社長=写真)は、オープンソース方式による受注拡大に力を入れる。オープンソース方式とは、開発したソフトウェアの中身を公開することで、第三者が改善や再配布できる形態を指す。同社は、リナックスなどで動く、オープンソース方式の業務システムを開発。「特定メーカーに依存しないオープンソース方式は、とくに自治体など公平性を重視する機関を中心に支持を得ており、今後、オープンソース方式の採用が相次ぐ可能性が高い」と意欲を示す。

 従来、ハード・ソフトメーカーは、自社ソフトの中身を“非公開”にすることで、後々のサポートサービスやハードの追加増設などの利権を得てきた。利用者は、一度、特定企業から情報システムを購入すると、その後も、特定企業に有料サポートや機能拡張の面倒を見てもらう必要がある。中身がブラックボックスになっているため、他社からのサポートや修復改善を受けられないからだ。これは、自治体などで問題化している「1円入札」の温床にもなっている。たとえば、A社が1円で落札したとする。これだけでは明らかに採算割れだ。しかし、一度、基盤となるシステムを自治体に納入してしまえば、次年度以降の発注は、すべてA社に発注せざるを得ない。

 A社は、自治体から随意契約を勝ち取り、次年度、次々年度で開発費用に水増しすれば、十分に元が取れる構図だ。ところが、基盤となるシステムを、オープンソース方式で納入すれば、次年度以降は、特定メーカーやソフトベンダーに依存する必要はない。ソースを公開しているため、まったく関係のない第三者がソフトを書き換え、より適したシステムに作り替えることも可能になるからだ。井上社長は、「オープンソース化することで、メーカーは次年度以降の受注が確実視できず、“1円入札”も成り立たなくなる。さらに、腕に自信あるシステム事業者が、実力本位で入札する環境づくりにも役立つ」と、より公正な入札環境をつくると話す。

 同社では、すでに日本医師会が推進する「進化型オンラインレセプトコンピュータシステム=オルカプロジェクト」向けにオープンソース方式による基幹システムを納入した。レセプトコンピュータとは、医療報酬を計算する専用コンピュータを指し、従来のメーカーによる独占を排したことで、価格を半額から3分の1程度に下げた。井上社長は「価格が安く、公平性が高いオープンソース方式は、自治体の入札でも必ず威力を発揮する」と話す。同社は今年度(02年9月期)、売上高で2億円、経常利益で2000万円を見込む。
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外部リンク

http://www.netlab.jp/