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AOLモバイル 携帯向けの入力ソフト

2002/07/15 16:24

週刊BCN 2002年07月15日vol.949掲載

 

 AOLモバイルが、入力予測ソフト「T9」(ティーナイン)の売り込みに力を入れている。「T9」とは、少ないキー入力数で的確な変換候補を予測する言語入力ソフト。国内では、2001年10月、J-フォンの初心者・高齢者向け簡単操作電話「シンプルフォン」(デンソー製)が採用したのに続き、5月末に発売したNTTドコモ「N504i」(NEC製)が採用。年内には携帯電話2-3機種が新たに採用し、今後1年間で5機種前後に搭載される見通しだ。PDA(携帯情報端末)にも応用する。

 携帯電話は基本的に1-9までの数字キーしかない。「遅れます」と入力する場合、従来の入力方式ならば16回もキーを押す必要があった。T9では、これを5回のキー入力で「おくれます」と予測する。この場合「おくります」などほかの選択肢も考えられるため、変換候補を示し、利用者が最適な候補を選ぶ(写真)。

 1画面に予測候補が3列(計6候補)出るが、これまでの入力経緯から推測し、ほぼ8割の確率で正解をこの3列の候補内に表示。ただし、T9は数字を仮名に変換するだけで、仮名から漢字への変換は、既存のATOK(ジャストシステム)やウンヌ(オムロンソフトウェア)など仮名漢字辞書を使う。

 AOLモバイルの白石善彦マネージャは、「T9は、もともと重度障害者の入力補助システムとして開発。少ないキー入力で豊かな言語表現ができるのが特徴だ。95年に今の原型が完成した。世界の文字入力可能な携帯電話のうち約半数がT9を採用している。対応言語は、欧米語に加え、日本、中国、タイ、ベトナム語など世界31か国語。今後はPDAなどほかのモバイル機器への売り込みにも力を入れる」と話す。

 PDAでは、操作画面上にソフトウェアで描いたキーボードを表示し、ペンで突いて入力する方式がある。ここで問題になるのが、キーボードが小さすぎて、ペンで隣のキーを突き間違えるてしまうこと。AOLモバイルでは、T9の予測機能を応用し、多少キーを突き間違えても、正確に入力できる入力予測システム「スロッピータイプ」を開発。現在は、英語版のみだが、国内でも需要があれば、日本語版の開発を検討する。
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