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アイ・オー・データ機器 中小企業向け市場を開拓 RAIDの新製品発売

2002/08/05 16:26

週刊BCN 2002年08月05日vol.952掲載

 

 アイ・オー・データ機器(細野昭雄社長)が、中小企業向けの新しい市場開拓に取り組んでいる。同社は、この6月にRAID(レイド)を製品化、さらにNAS(ネットワーク接続型ストレージ)や無線LANなど、中小企業向けの品揃えを増やす。同事業を担当する部門は、昨年6月に設置したネットワークソリューション事業部で、1年かけて製品企画を進めてきた。まずはRAID分野で今年度(03年6月期)15億円、粗利率30%を目指す。

 アイ・オー・データ機器は、中小企業が気軽にRAIDを組める製品群を約10種類発売。さらに、需要が見込めるNASや無線LANなどの製品も順次投入する。

 まず、足がかりとして3万5000円から15万円前後という低価格でパソコンやサーバーへの組み込みが簡単なRAIDを揃えた。

 RAIDは、データを安全に保管するバックアップ型のものから、アクセス速度を早める高速型のもの、バックアップ型と高速型の利点を合わせもった規格「RAID5」など数種類の規格がある。

 同社では、できる限り分かりやすく使いやすい製品にする考え。8月以降も、SCSI上位機種やスタンドアロン型のRAID新製品を企画中で、他社にない独自性のあるタイプを中心に品揃えを増やす。

 ネットワークソリューション事業部ソリューション開発部・平野義久マネージャーは、「RAIDを単品販売する市場規模は、推定年間100億円前後。RAIDは難しく、なかなか素人が手を出せなかった。しかし、分かりやすく簡単にRAIDを組める製品を出せば、この市場は必ず大きくなる。RAIDを立ち上げたのち、NASや無線LANなどを使った中小企業向けソリューションを開発し、同じ切り口で売り込む」と鼻息が荒い。

 同事業部の製品は、新しく「アイ・オー・プロ」のブランド名を付け、主にミカサ商事(大阪市)、ビスタポイントテクノロジー(東京)、シミズシンテック(金沢市)など、中小企業市場に強い販社経由で販売する。今はまだ数社だが、今年度末(03年6月期)までに取り扱い販社を20-30社集める。

 中小企業向けということもあり、大規模なシステム開発はせず、簡単な操作で利便性が高い製品に仕立てる。

「ディスクの稼働状態がひと目で分かる仕組みを充実させ、まったくの素人でも安心してRAIDが使える環境を整える。また、不用意な上書きを防止するため、2-3日経ってから自動的にバックアップを始めるユーティリティソフトを開発する」など、高価格・高性能を追求するのではなく、手が届く価格帯で、使い勝手の向上に力を入れる。
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