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NTTドコモ FOMAを法人向けに拡販

2002/08/12 16:26

週刊BCN 2002年08月12日vol.953掲載

 NTTドコモの次世代携帯電話「FOMA」の法人営業が本格化している。FOMA利用可能地域の人口カバー率が今年度末(03年3月期)90%に高まることを受けて、業務システムへのFOMA導入検証を急ピッチで進める。現在は、同カバー率が約69%と低く、業務で実用的に使うには課題が多い。だが、今年度内にある程度業務システムへの応用の目途がつけば、来年度から業務用途での導入が本格的に進む可能性がある。「まずは法人向けから導入が始まり、その後、一般消費者へと急速に広まる」と、法人への売り込みを重視する。

業務システムへの導入めざす

 FOMAを売るには、まずソリューションありき――。今年度末には、人口カバー率90%に高まることを受けて、ドコモ法人営業本部では、FOMAの受け皿となる新しい業務システムの企画立案に力を入れる。FOMA単体では、「通信速度が384KBPSと、従来のPHSの約6倍の速度が出る」というだけで、法人顧客に向けた訴求力に欠ける。従来の携帯電話に比べ、サービス範囲のバラツキや電池の持ち時間が短いなど利便性の問題もある。これを法人に売り込むには、「FOMAを使わなければ実現できないソリューションの開発」が必須だ。

 法人営業本部システムサービス部パートナーソリューション担当・高橋秀明チーフマネージャーは、「われわれは無線インフラの構築が主たる業務。業務システムの作り込みの部分は、システム構築に強いパートナの協力が欠かせない」と、システム構築能力の強いベンダーやシステム販社との協業を訴える。NTTドコモは、およそ3年前から通称「SIパートナ」と呼ばれるシステム販社と緩やかな提携関係を結んできた。2年前から提携システムパートナーが90社に増え、現在も、ほぼこの数で推移している。「案件ごとに協業する形態で、とくに提携内容や支援内容を約束しているわけではない」関係だという。

 これらSIパートナは、携帯電話やドゥーパ(パケット式データ通信サービス)、PHSなどを活用した業務システムを構築してきたが、「今後は、FOMAの販路として、引き続き力を借りる」方針。現在、FOMAを活用したソリューション案件を受注したSIパートナが急増しているわけではない。だが、「今年度末、人口カバー率90%への拡大に向けて、法人顧客、SIパートナ、われわれNTTドコモとの間で業務システム導入への検証を進めて」おり、来年度から本格的に商談に結びつく可能性が高い。

 SIパートナには、大手ベンダーをはじめ、大塚商会、内田洋行、富士ゼロックスなどシステム構築に強い販社やベンダーが名を連ねる。「SIパートナ各社は、それぞれ独自の業務システムをもっているケースが多い。彼らの業務システムにFOMAを活用できる仕組みを組み込んでもらうよう働きかける」と、大塚商会のスマイルαシリーズ、内田洋行のスーパーカクテルなど、それぞれの業務システムのFOMA対応を促進する考え。法人向けのFOMA普及の速度は、SIパートナが得意とする業務システムの対応次第で大きく左右される。来年度の本格的立ち上げに向けて、FOMAの必然性を訴求できるソリューションを、SIパートナーがどれだけ前向きに開発するかどうかが最大のポイントだ。
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外部リンク

http://www.nttdocomo.co.jp/