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イーツ 強気のレンタルサーバー事業

2002/09/09 16:30

週刊BCN 2002年09月09日vol.956掲載

今年度、経常利益1億円目指す

 東京都内には、20-30ラック程度の採算性の悪い小規模レンタルサーバー事業者が100社以上ある。これを統合すれば、大きなビジネスになる――。強気の構想をぶちあげるのは、中堅サーバー運営会社イーツ(清水義博社長)。レンタルサーバー事業の市場価格は最盛期の10分の1以下に下落しており、サーバー運営に付加価値をつけるか規模を追求するかの選択を迫られている。

 清水社長は、「資金を調達した企業が1000ラック分のレンタルサーバー事業者を買収し、年商100億円の事業規模を創り出せば、収益効率は大幅に向上する。もし、これができなければ、小規模ながらも付加価値の高いサービスを創出しなければ生き残れない」と、レンタルサーバー事業の厳しい状況を指摘する。同社は、100ラック1500台のサーバーを運営し、年商8億8000万円(2002年6月期実績)のうち約4割を携帯電話向けのコンテンツ配信サーバー運営が占める。携帯電話向けのサーバー運営では実績があり、着メロや天気予報、ゲームなどの運営ノウハウをもつ。

 だが、昨年度はハードの投資がかさみ、経常段階で7000万円の赤字を出した。1500台のサーバーのうち約400台が自社所有のサーバーで、この投資分が重荷になった。今年度(03年6月期)は売り上げ13億円、経常利益1億円の黒字化を目指す。ポイントは、自社所有のサーバーを武器に、1顧客あたり最低1台のサーバーを割り当てる専有ホスティングサービスの強化だ。通常、レンタルサーバーは1年契約だが、これを1か月単位で貸し出す。短期の販売促進用サイト開設に役立つという。自社所有のサーバーがなければできないサービスだ。

 加えて、専有ホスティングを基盤として、システム構築とアプリケーション分野へ進出する。「レンタルサーバーは、データセンターの付加価値サービスである。データセンターそのものは1ラックあたり月額10万円を切る値段で貸し出されており、価格下落が激しい。99年の最盛期には1ラックあたり50-100万円した。しかし、実際問題、顧客企業がデータセンターだけ借りても使い勝手が悪い。当社は、ここにシステム構築やアプリケーションの搭載、保守運営の“付加価値部分”を強化することで収益性を高める」と話す。

 中堅・中小のレンタルサーバー事業者は、付加価値サービスの幅を増やすか、買収や合併により規模を追求しないと利益が出ない。「システム販社が片手間でレンタルサーバーを手がけているケースが多い。しかしレンタルサーバー単体ではまず黒字がでない。将来、株式公開などで資金を調達したのち、付加価値と買収=規模の追求の両面で成長路線に乗せたい」と意気込む。
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外部リンク

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