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東洋通信機 券売機と連動したシステムを提案 収益の多角化を目指す

2002/09/09 16:30

週刊BCN 2002年09月09日vol.956掲載

東洋通信機(吉川英一社長)は、紙幣識別技術をベースとした券売機を軸に、システム構築とネットワーク化ビジネスを推進する。これまでは、券売機単体を納品する「ハードの売り切り」が中心だったが、今後は、券売機と連動した売上管理システムの構築、運用、保守サービスまで一貫したソリューション化を顧客に提案することで、収益性の向上を図る。

 システム構築の分野では、自動車教習所向けの予約システムなど一部で実績がある。カスタマシステム事業統括部・和島由尚ソリューションシステム部長は、「全国約1500か所ある自動車教習所のうち、上位約500校がコンピュータを使った予約システムを導入しており、当社は、このうち150校(同シェア約30%)に納入実績がある。最近では、携帯電話で予約ができるサブシステムの販売にも力を入れる」と話す。

 これに加えて、同社の紙幣識別技術を使った主力製品である券売機のシステム化に力を入れる。「当社の券売機は、食堂・レストランなどを中心に全国で約2万台が稼働しており、同分野で約50%をシェアを誇る。だが、98%以上が機器単体での納入で、システム化、ネットワーク化が遅れている。券売機の売上情報をインターネットなどの通信網を介して売上管理の基幹システムへとリアルタイムで伝送しているのは、納入機器全体のうち数百台程度しかない」という。

 同社では、遊園地の券売機や住民基本台帳ネットワークシステムと連動した住民票自動発給機などの受注・納品が進んでいる。しかし、肝心な業務システムやソフトウェア部分は、親会社のNECや、戸籍管理システムに強い富士ゼロックスが受注するケースが大半。せっかく基盤となるハードウェアを納入しても、システム連動がなければ、ビジネスの広がりに欠けることになる。これを解決するために、同社自らが券売機と連動した業務システムを積極的に提案し、システム構築、運用、保守サービスなど一連の受注につなげていく。

 「われわれハードの供給者側がシステム化やソリューション提案を積極的に推進しなければ、市場の開拓に結びつかない。従来のような“売り切り”ではダメ」と、販売姿勢の改革に取り組む。同社は、携帯電話などに使う水晶発振器や紙幣識別装置を製造するメーカー。昨年度(02年3月期)は売り上げ618億円に対し、経常損益は96億円の赤字を出した。今年度(03年3月期)も経常損益は27億円の赤字を見込むなど厳しい経営状態にある。これを打開するために、システム構築の受注などで収益体質の強化を図る。
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