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パームコンピューティング 営業部門、日本から撤退

2002/09/09 16:30

週刊BCN 2002年09月09日vol.956掲載

 

厳しいPDA市場を反映

 パームコンピューティング(スティーブン・ユー社長、以下パーム)の主力営業部門が、9月1日付で日本から撤退した。営業部門やマーケティング部門が消滅したことで、日本法人に残るのは管理部門など「数人」(同社)に減る。日本法人の法人格は当面は存続させる方針。

 販売店や流通に向けた支援は、同社製品の流通を請け負う「ソフトバンク・コマースに全面的に移管する」という。一般消費者向けの保守サポートは「これまで通り(外部発注の方法で)に継続する」。

 主力部門撤退後の日本市場向けの企画・営業機能は、香港の同社拠点が統括する。ユー社長は、香港の代表を兼任する。

 同じパームOSを採用するハンドスプリングが、昨年9月、今回のパームコンピューティングと同様に主力営業部門をリストラする施策を断行しており、国内の携帯情報端末(PDA)市場の厳しさが伺える。

 BCNランキングの7月月間統計によれば、パームの対前年比販売台数は102%であるものの、販売金額は同44%と半分以下に縮小した。値下げに次ぐ値下げで販売単価を落としたことが金額ベースでのシェア減少につながった。

 しかし、パームOS採用ベンダーがすべて惨敗したわけではない。ソニーのクリエは、同販売台数で157%、金額で170%と、好調な売れ行きを示す。PDA全体で見ると、7月月間の前年比較は台数で87%、金額で85%と前年割れの厳しい状況。

 米国本社は、パーム本体を扱う「パームインク」と、OS部分を扱う「パームソース」に分かれていることから、日本法人もこの組織に合致した体制にする方針だが、販売面ではソフトバンク・コマースを総代理店として、日本法人は管理業務に徹する見通し。

 パームの事業縮小・弱体化は、敵対するポケットPC陣営にもマイナス影響を与えかねない。

 国内では、携帯電話が個人用PDAや法人用の業務端末として台頭しており、本来PDAが担うものと目されていた市場が携帯電話に有利に動く可能性もある。

 モバイル端末市場に詳しいアイディーエスの熊谷卓也社長は、「業務用モバイルの本命は携帯電話になる」と、個人同様、法人用途においても携帯電話によるPDA市場の取り込みが進むと予測する。

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