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ソフトベンダー各社 ソフトの不正コピーでスクールに損害賠償請求

2002/09/09 16:30

週刊BCN 2002年09月09日vol.956掲載

 マイクロソフトやアドビシステムズなどソフトベンダー5社は、東京・大阪のコンピュータ専門学校・スクールに対し、「ソフトを不正に複製された」などとして、9月3日、総額5億7000万円の損害賠償を求める訴えを東京地裁と大阪地裁にそれぞれ起こした。「学校内部からの告発により、ソフトの不正利用が発覚した」としている。ソフトベンダーが集団で複数の専門学校・スクールを訴えたのは今回が初めて。

 訴えを起こしたのは、マイクロソフトコーポレーション、アドビシステムズ、ジャストシステム、クォークインク、ニューテックインクの5社。訴えられたのは、東京コンピュータ専門学校(豊樹学園、三岳博輔理事長)、東京ゲームデザイナー学院(エッグエデュケーショナルインテリジェンス、齋藤隆徳代表)、ヘルプデスク(大阪・成重義浩代表)の3社。

 ソフトベンダー側の調べによれば、この3つの専門学校・スクールは、生徒や受講生が実習に使うパソコンに、ウィンドウズやフォトショップ、一太郎などのソフトを不正に複製して使ったという。

 著作権問題に詳しいコンピュータソフトウェア著作権協会の久保田裕専務理事は、「教育機関は、知的財産権の重要性について高い意識をもつべき立場にある。もし、今回のことが事実だとすれば遺憾だ。ソフトベンダーの大半は、学校向けの割引価格を設定している。ソフトベンダーと学校・スクール側とが互いに活発な商談をして、納得のいく価格で購入すれば、訴訟沙汰にならずに済む問題」と話す。

 しかし、あるスクール関係者からは、「今回、原告に名前を連ねるベンダーは、独占的なシェアをもっているところが多い。大学や研究所など高等教育向けには安く売る反面、中小の駅前スクールに対しては高く売りつける傾向が強い。高等教育機関に比べ割高な価格で、受講生の頭数を満たすライセンスを揃えるのは経営的に厳しい」と、不満の声も聞こえてくる。

 今回、訴えられた東京コンピュータ専門学校では、「ベンダー側が提示する値段は納得できない。裁判の場で白黒つける」とし、ほかの東京ゲームデザイナー学院、ヘルプデスクは「コメントできない」と話す。

 3社のなかで、請求額が約2億9700万円と最も高い東京ゲームデザイナー学院の内訳は、アドビが約2億7600万円、マイクロソフトが約1800万円、ジャストシステムが約300万円。そのほかの請求額は、東京コンピュータ専門学校が約1億9200万円、ヘルプデスクが約7800万円。
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