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サイボウズ/ネオジャパン 東京地裁、サイボウズ敗訴の判決

2002/09/16 16:29

週刊BCN 2002年09月16日vol.957掲載

 グループウェア開発のサイボウズ(高須賀宣社長)が競合会社のネオジャパン(齋藤晶議社長)を著作権侵害などで訴えていた裁判で、東京地裁は9月5日、サイボウズ敗訴の判決を出した。

 裁判では、グループウェアなどのビジネスソフトの画面デザインや操作性が“創作性を有する思想・感情の表現として、著作物に該当するかどうか”が最大のポイントだった。

 判決では、「ビジネスソフトにも創作性が認められ、著作権が発生する」(ネオジャパン代理人の松本直樹弁護士)、「ビジネスソフトには、創作性の幅は限られるものの、創作性そのもの=著作権は認められる」(サイボウズ代理人の平出晋一弁護士)と、著作権を認めるものであり、コンピュータ業界にとっては歓迎すべき結果である。

 サイボウズの著作権を容認しつつも、結果的にサイボウズが敗訴した原因について平出弁護士は、「グループウェアというソフトの機能にともなう必然的なデザイン・構成であるため、創作的特徴=著作権を認められなかった」とし、松本弁護士は「グループウェアなどのビジネスソフトは、機能的必然性から、構造的に共通する部分はあるとしても、それがそのまま創造性=著作権を主張できる根拠にはならない」と指摘する。

 つまり、仮に、ネオジャパンが「真似た」としても、創作性のない部分(グループウェア共通の機構・デザインなど)を「真似た」ものであり、サイボウズの著作権を侵害していないという考えだ。

 昨年9月の仮処分決定では、ネオジャパンの旧製品の一部がサイボウズ製品を「模倣」したと判断したが、今回の本裁判では、この決定を覆した。

 今回の判決についてサイボウズは「9月中にも控訴する」(高須賀社長)と鼻息が荒い。ネオジャパンの齋藤社長は、「昨年9月の仮処分決定以来、営業面でマイナス作用があったことは否めない。金額に換算するのは難しいが迷惑だ」と、サイボウズに不快感を示す。

 訴訟対象は、ネオジャパンの旧製品に対するもので、両社の現行ビジネスにはほとんど影響がない。高須賀社長は、「過去の製品で真似されたことは事実なのだから、先方がこの事実を認めるまで争う」と執念を見せる。一方の齋藤社長は、「サイボウズは、裁判で不毛の争いをするのではなく、お互いソフトメーカらしく、製品力で正々堂々と闘うべき」と、裁判継続に疑問を投げかける。
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