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ゾナ ネットゲームを分散処理技術でグリッドコンピューティング技術を応用

2002/09/30 16:29

週刊BCN 2002年09月30日vol.959掲載

 グリッドコンピューティング技術を使ったネットワークゲーム専用サーバーが登場した。開発したのは米ゾナ(モンテ・シグマン社長)で、国内のゲームメーカーに売り込む。この9月に日本法人を設立した。グリッドコンピューティングとは、複数のコンピュータを統合的に運用する分散処理技術。拡張性や耐障害性が高いのが特徴だ。 大規模なネットワークゲームには、数百人が同時に接続しても耐えられ、なおかつ、ウェブサーバーやECサーバーよりも多くの画像や音声情報をリアルタイムに送り返す処理能力が求められる。これまでは、高価な大型コンピュータをネットゲームの中央サーバーに据えることが多かった。しかし、ひとたび障害が発生すると、ゲームすべてが停止してしまう欠陥があった。

 ゾナでは、複数の安価で汎用的なサーバーを統合的に組み合わせるグリッド技術を使うことで、数百人規模の接続でも迅速に反応するシステムを開発した。今年に入り、台湾ネットゲーム開発大手のガマニアデジタルエンターテインメントが同社のグリッド技術の採用を決めた。今後は、国内や韓国のネットゲーム会社に同技術を売り込む。

 シグマン社長は、「従来の中央集中型サーバーでは、負荷の大きいネットゲームに対応できない。ゲームはリアルタイム性が重要で、しかもサーバーにかかる負荷の大きさはウェブサーバーの比ではないからだ。分散処理のグリッド技術で複数のサーバーを統合的に運用すれば、負荷の増大に合わせて、柔軟にサーバーを増設できる。また、サーバー間で互いの情報をコピーし合っているので、数台のサーバーが同時に落ちたとしても、ゲームの進行そのものは止まらない」と、その優位性を強調する。「日本国内では、スクウェアのネットゲーム『ファイナルファンタジー』が、中央集中型サーバーで運営している。このように、すでに動き始めてしまったネットゲームは別として、今後、新しく立ち上がる日本のネットゲーム市場で当社のグリッド技術の優位性を訴える」としている。

 今年度(02年12月期)の同社の売上見込みは日本円で約1億2000万円。「グリッド技術の売り上げは、実際にネットゲームが動き始め、収益が立ち始めたのちに『技術料』としてゲーム運営者から徴収する。このため、今年から来年にかけては、技術の売り込みとネットゲームの立ち上げに専念し、本格的な収益は2-3年後になる」という。

 同社の社員数は約24人。まずネットゲーム先進国の韓国と台湾に売り込み、今後、本格的にネットゲームが立ち上がる日本、米国に同技術を売り込んでいく。
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