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内田洋行 今年度の業績、楽観的見通し

2002/10/07 16:32

週刊BCN 2002年10月07日vol.960掲載

 内田洋行(向井眞一社長=写真)は、今年度(03年7月期)の業績について楽観的な見通しを示した。同社は、昨年度、向井社長就任後初めて赤字を出したものの、今年度については「e-JapanによるIT需要、東京・丸の内などの再開発需要、学校のIT化の進展などで黒字化への見通しはついた」(向井社長)と自信を示す。

好調なIT需要が追い風に

 今年度は単体ベースで、売上高1300億円(前年度比5.1%増)、営業利益14億円(昨年度は21億円の赤字)の目標を掲げる。同社は、(1)業界シェア15%を占めるオフィス家具、(2)同25%を占める学校教育用機材およびソフトウェア、(3)独自基幹系システム「スーパーカクテル」(導入実績約2000社)を中心とした情報関連事業の3つを柱とする。

 このうち、昨年度、営業利益ベースで19億円の赤字を出したオフィス関連事業は、今年度は4億3000万円の赤字に抑える。情報関連事業は、昨年度18億円の赤字に対し、今年度は3億8000万円の赤字に抑える。教育関連事業については、12億円の黒字をさらに伸ばし、黒字幅を19億1000万円に拡大する。

 黒字幅を増やすために、昨年度1239人在籍した社員を約10%削減し、160人の派遣社員など臨時社員を半分に減らす。その他、物流経費や減価償却費の見直し・削減、退職給付債務の圧縮などで約20億円のコストを削減する。

 向井社長は、「人員減については、積極的なリストラではなく、自然減を主体としたもの。単純に計算して約20億円のコスト削減により、昨年度の赤字分は十分に埋まる。あとは、本業の稼ぎの14億円(見込み)を足せば、目標の黒字額が見えてくる。懸案だった有利子負債も、昨年度末で200億円、今年度は150億円以下に圧縮する。4年前は460億円もあった」と、財務の健全性と、黒字化への見通しを示す。

 「オフィス関連事業は、東京・丸の内の再開発などで、今年度の売り上げの半分はすでに“見込み受注”として達成している。情報関連事業についても、従来のスーパーカクテルを主体とした基幹系システム偏重を見直し、フロントオフィス(情報系システム)やセキュリティ分野の拡充を急ぐ」と、収益性の改善に力を入れる。

 都内では、丸の内、六本木、汐留、品川などの再開発が進んでおり、「オフィス家具の需要が高まっている。安値受注を目指すのではなく、オフィス家具にプラズマディスプレイを埋め込むなど、家具に情報機器を組み込む“IT家具=ITとオフィス家具を組み合わせる手法”で、他社との差別化を図り単価向上を目指す。
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外部リンク

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