ニュース

アダプテック ストレージ製品群で復活へ

2002/10/14 16:32

週刊BCN 2002年10月14日vol.961掲載

 米アダプテックのボブ・スティーブンス社長(=写真)は、3-5年以内に10億ドル企業への復帰を宣言した。同社はここ数年減収減益が続いていた。1998年3月期に9億6400万ドル(約1100億円)あった売り上げは、昨年度(02年3月期)は4億1800万ドル(約500億円)に縮小し、税引後損益は1億9600万ドル(約235億円)の赤字に転落。だが、「構造改革と再成長に向けたシナリオは見えた」として、守りから転じて攻めの経営を推進していく。

スティーブンス社長、成長戦略を語る

 アダプテック復活に向けたシナリオで中心的役割を果たすのは、iSCSI、RAIDなどのストレージ製品群だ。とくにiSCSIの製品化には力を入れており、昨年度は赤字覚悟で、iSCSIの技術をもつプラタスコミュニケーションズを買収した。また、今年9月には、アダプテック初の外付けRAIDストレージの販売を国内で開始した。同社はこれまでSCSIインターフェイスで伸びてきたが、USB2.0など手軽な高速インターフェイスが登場したことで業績が伸び悩んでいた。

 昨年度の売上構成比は、約8割がSCSIおよびRAID関連、約1.5割が個人向け製品、残り0.5割がネットワーク関連製品。再成長への施策として、まず、来年度以降2年間(05年3月期まで)で、この売上構成比を大幅に変える。法人向けでは従来のSCSI製品の比率が減り、RAIDやiSCSIなどストレージやネットワーク製品の売上比率を増やす。個人向けの製品ではビデオ関連を中心にテコ入れする。

 スティーブンス社長は、「短期的な目標としては、現在、法人向けRAIDの売上高約1億ドル(約120億円)を、05年3月期までに2倍に増やす。個人向けの売上高約7000万ドル(約84億円)も同時期までに2倍近い1億2000万ドル(約144億円)に増やす。もしこの2つの目標が達成できなかったら、アダプテックの再成長戦略は失敗したも同然」と、背水の陣で臨む。法人向けでは、外付けRAIDストレージ本体の参入に続いて、SAN(ストレージ・エリア・ネットワーク)の専用インターフェイス「ファイバチャネル」に代わると期待されているiSCSI事業の立ち上げに力を入れる方針。

 「iSCSIに関しては、昨年度、プラタスコミュニケーションズの買収費用も含めて2億ドル(約240億円)もの投資を行った。今後、急成長するiSCSI分野で必ずトップ企業になる」と意気込む。個人向けでは、従来のSCSI製品に加え、USB2.0、ビデオキャプチャ製品など、品揃えの拡充に力を入れる。この9月から、同社初となるビデオキャプチャ製品の販売を国内で始めた。キャプチャボードだけでなく、USB2.0対応のキャプチャユニットも揃えた。

 「記録型DVDやビデオカメラの普及で、ビデオ関連の周辺機器市場が必ず拡がる。『アダプテック』というブランド力を高めるためには、なんとしてでも個人市場で確固たる地位を堅持しつづけなければならない」と、粘り強く取り組む。「ここ数年の積極的な投資と、RAID、iSCSI、ビデオ関連などの品揃えの拡充により、3-5年以内に10億ドル企業への復帰を目指す。IT投資に対する懸念が蔓延しているなかで、簡単に実現できる数字ではないということは分かっている。だが、将来、世界経済が好転しIT投資が再び活気づいたとき、今日の投資が実を結び、再び“強いアダプテック”を甦らせることができる」と自信を示す。
  • 1

外部リンク

http://www.adaptec.co.jp/