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ソニーマーケティング 法人向けにバイオを売る

2002/10/21 16:32

週刊BCN 2002年10月21日vol.962掲載

 ソニー・バイオの法人向け販売ビジネスが本格的に立ち上がろうとしている。同事業を担当するソニーマーケティングの永井源一郎執行役員(=写真)は、「同事業で今年度の売り上げ100億円を達成したのち、来年度以降、最低3年間は2倍ずつ伸ばす。もし伸びなければ、このビジネスは失敗だ」と強気。だが、法人向け直販の領域で“最後発”だけに課題も多い。

今年度売り上げ100億円目指す

 今年4月に100人体制で発足したバイオの法人向け直販「B-ダイレクト」の課題は、(1)パソコン販売店などの法人向け販売の領域に踏み込まず、どう新規市場を開拓するのか、(2)法人向けのシステム構築(SI)事業にどこまで踏み込むのか、(3)ハードの売買差益だけでなく、どこに収益の柱を求めるのか――の3つ。永井執行役員は、「B-ダイレクトでは、まず第一に、パソコン販売店の法人向け販売のビジネスを食うつもりは毛頭ない。もし、この市場を販売店と奪い合うことになれば、販売店にとってもソニーマーケティングにとってもマイナス。このビジネスをやる意味はない」と断言する。

 同社の年商約8600億円のうち、約半分はパソコン販売店経由でのバイオ販売が占める。このうち、軽量薄型ノートを中心に2-3割は、販売店経由での法人販売(領収書を必要とする来店客を含む)が占めており、この領域に踏み込めば“共食い”になるとの判断からだ。では、どこに売り込むのか。ソニーと同じく薄型軽量のノートパソコン「レッツノート」をつくる松下電器産業ITプロダクツ事業部マーケティングセンターの伊藤好生所長は、「レッツノートの販売台数のうち6割近くが法人向けに出ている。薄型軽量ノートに対する法人客からの引き合いが多く、取り立てて営業をしなくても売れる」と、法人市場には、本来、薄型軽量ノートに対する需要があると手応えを感じる。

 永井執行役員は、「軽くてデザインに優れたパソコンが欲しいという需要を考えれば、レッツノートが法人向けに売れても不思議はない。同様に、バイオノートも薄型軽量・AV連携、デザイン力で法人に売れるのは間違いない。問題は“どう企業の情報システムの一環として仕立てるか”という点にある」と考える。しかし、本格的なSI領域に踏み込むには、わずか100人の体制では基盤が弱すぎる。「仮に来年度、人員を2倍に増やしても、たかが200人に過ぎない。つまり、SI領域に首まで漬かるのではなく、一方で、パソコン販売店の法人売りにもマイナスにならない“中間的な領域”で、新しい市場を切り開くべき」と永井執行役員は方向性を示す。販売体制については、「今はバイオの手の届かなかった新規市場の開拓に向けて取り組んでいる最中で、当面は直販のみ。しかし、ビジネスモデルが確立したのちは、SI販社など既存の流通販社の力を借りることもあり得る」と話す。
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外部リンク

http://www.sony.jp/