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米IBM 「POWER5」のサンプル品を来年に完成

2002/11/04 16:37

週刊BCN 2002年11月04日vol.964掲載

OSの一部をハード上に搭載

 米IBMのiシリーズ(AS/400)開発担当者、フランク・ソルティス・iシリーズチーフサイエンティストは、iシリーズなどに搭載されているプロセッサ「POWERシリーズ」のロードマップについて、現在開発中の最新版「POWER5」のサンプル品を2003年中に完成できるとの見通しを明らかにした。線幅0.13マイクロメートルの先端プロセス技術を採用するとともに、「OSの一部をハード上に載せた」仕様となる。OSで繰り返し実行される命令をハード上に移管することで、処理速度の向上を図る。

 ソルティス氏は、日本アイ・ビー・エム(日本IBM)が支援するiシリーズの販社会「iSUC」の第13回大会に合わせて来日。このほど宮崎市内のホテルで記者ミーティングを行った。

 現在、POWERシリーズは、クロック周波数で1GHzを超える「POW ER4」がiシリーズなどに搭載されている。「POWER4」は“次世代ギガプロセッサ”として開発されたチップで、微細加工に向く銅配線技術、SOI(シリコン・オン・インシュレータ=絶縁膜上に形成した単結晶シリコンを基板とした半導体)技術により高性能、省電力化を実現している。

 ソルティス氏によると、POWERシリーズは「すでに『POWER8』まで開発資金の手当てを終えており、来年に『POWER5』のサンプル版を出した後、04年には正式版『POW ER5』を投入。その後、06年には『POWER6』と、2年ごとに新製品を出していく」方針。

 次に投入される「POWER5」は、「初めてOSの一部コードがハードに載る」仕様になるという。搭載されるコードは、「OS/400やLinuxなどの各OSの共通部分となり、具体的にはTCP/IPの処理機能などが考えられる」としている。

 また、「POWER5」では、1つのプロセッサで2つの演算実行機能を備えた設計を採用。正式版の投入時には、「1つのチップに2つのプロセッサを搭載する予定で、これにより1チップ当たり4つの演算実行機能を実現できる」ことになる。

 一方、06年に投入予定の「POW ER6」は、OSのみならず、ミドルウェアの一部もハード上に搭載する計画。搭載するミドルウェアは、「DB2やWebsphere(ウェブスフィア)などが考えられる」としている。
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