実情にあった体制を構築

 アドビシステムズ(石井幹社長)は、2003年度(03年11月期)の事業強化ポイントとして、ユーザー層、販売パートナーを再定義、ターゲットにあわせメリハリのある営業体制の構築を図る。同社の「フォトショップ」のような製品は、個人や企業、官公庁など、異なる企業層で利用され、販売チャネルも量販や訪販、システムインテグレータなど、複数チャネルで販売されている。これまでは、製品別にユーザーを定義し、チャネル施策を行ってきたが、「ユーザー層やパートナー別の支援策を打ち出し、営業面、顧客サポート面でのメリハリをつけた展開を行う」(石井社長)ことを掲げている。特にエンタープライズビジネスへの進出など、新事業領域の拡大を進めており、「新たなパートナーの開拓と、従来からの当社の強みであるプロのクリエイター向けビジネスのさらなる強化を行う」方針だ。

 同社ではユーザーを、(1)クリエイティブ・プロフェッショナル、(2)エンタープライズ、(3)官公庁、(4)教育、(5)個人の5つに分類している。

 販売パートナーについては、(1)量販店、専門店などの店頭、(2)事務機器販売ルートなど訪問販売系、(3)システムインテグレータ、(4)OEM(相手先ブランドによる生産)と4つに分類している。このユーザー別の訴求と、パートナー別の支援策がメッシュになるような形での支援を進め、ユーザーやパートナーとの関係強化を図る。

 これまでは製品を中心とした戦略を行ってきたが、「製品を中心とした戦略は、メーカー側の理論に陥ってしまう。そこで、02年度から全世界のマーケティング組織を一部改変し、ターゲット市場別の営業とマーケティング組織になっている。ターゲット別の組織によって、営業面でいえばユーザーは自社の仕事にあった営業になり、プラスに考えてもらえるのではないか」と、よりユーザーの実情に近い体制へと変革を進めている。従来から強い分野のプロのクリエイター向けには、「製品単体での紹介にとどまっていたが、アドビ製品を複数利用することで実現するソリューションを紹介し、さらにアドビ製品への満足度の向上を図り、継続して利用してもらうことを訴える」方針だ。

 これまでのセミナーなどは、新規ユーザーの獲得を狙って実施することが多かったが、既存ユーザー向けにセミナーなどを実施していく。パートナー向けの施策としては、店頭市場に向けて10月上旬に発売した「フォトショップエレメンツ2.0日本語版」の販売が当初予測の倍の売れ行きを記録するなど好調であり、新たなプロダクトを増加することも検討中で、供給体制などの充実を進める。訪販パートナーに対しては、ライセンス販売の強化を進めていく。従来は20ユーザーが最小ライセンス数だったものを、5ユーザーからへと変更し、ライセンス販売を増加させていく。

 新領域として、買収した旧アクセリオ社製品などをはじめとした企業の基幹業務分野への進出を進めており、販売パートナーとしてシステムインテグレータの開拓を実施。現在25社のパートナーがいる。「今年度は数を拡張するのではなく、サポート体制を作っていく。現在のパートナー向けサポート体制が十分に整った後で、さらなるパートナー層の拡充も検討していく」としている。新たにサーバー製品も03年早々から投入していく計画で、「事業拡大には時間がかかるだろうが、着実にビジネスを増やしていく体制を作る」という。