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米ニューヨークでLinux World開催
2003/02/03 19:12
週刊BCN 2003年02月03日vol.976掲載
大手企業の導入事例を数多く紹介
主催者側は入場者数を発表していないが、今年は昨年実績を大きく上回ったという。これまではIT企業など技術に強い企業向けのOSというイメージの強かったLinuxだが、大手企業の間での普及が進んでいることを示す導入事例が講演やセミナーのなかで次々と発表された。Linux有力ベンダー・レッドハットのマイケル・ティエマンCTO(最高技術責任者)は基調講演のなかで、金融総合大手のモルガン・スタンレーがUNIXからLinuxへ乗り換えた事例を紹介。同Ximian(シミアン)は、石油大手アメラダ・ヘスがLinuxアップデートサービスの顧客であることを明らかにした。ヒューレット・パッカードは消費財大手のユニリーバの事例を紹介した。
また米国からの報道によると、IBMソフトウェア部門責任者のスティーブン・ミルズ上級副社長は基調講演のなかで、同社の売り上げのなかでのLinuxの比重が着実に増加していることを明らかにした。とくにLinux関連のミドルウェアとサービスが売り上げを伸ばしているという。
同上級副社長によると、IBMは5000人の技術者がLinuxの中核技術の改良を今後も精力的に続ける方針。「Linuxが使いにくい技術というのは神話に過ぎない。Linuxは明らかに新時代を迎えた」(同上級副社長)と強調した。
一方、今回のLinux WorldからLinuxファイナンシャル・サミットと呼ばれる特別セミナーシリーズが始まった。金融機関向けにLinuxに関する技術支援を提供するのが狙いという。また一般のセミナーでも、企業向け、開発者向け、セキュリティ問題などのトラックに加え、政府関係者向け、電話・通信事業者向けなどのトラックが新設された。
業界アナリストの予測でも、今後Linuxの普及は順調に進むもようで、調査会社メタ・グループは06-07年までにLinuxがサーバー市場の45%を占めるまでになると予測。金融大手のゴールドマン・サックスは、ローエンドだけではなく、ハイエンドのサーバーまでLinuxが勢力を伸ばすようになるとしている。
しかしLinuxが侵食しているのはマイクロソフトの市場ではないようで、調査会社IDCは05年までにサーバー市場でマイクロソフトのシェアは今後拡大すると予測する。Linuxも増加するが、代わりにノベルのネットウェアがシェアを失うことになるという。
米国の業界関係者の間では、伝家の宝刀ウィンドウズをもつマイクロソフトと、新兵器Linuxを手に入れたIBMの一騎打ちが今後激化するとの見方が強まっている。(湯川鶴章)
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