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富士通オフィス機器 出版事業が約3割に成長

2003/02/24 19:12

週刊BCN 2003年02月24日vol.979掲載

「よくわかる」が1千万部突破

 富士通オフィス機器(FOM、松尾好洋社長)は、「教育と出版」企業として業態転換を軌道に乗せつつある。それを牽引しているのが2年半前から強化を始めた出版事業。このうち「よくわかるシリーズ」は累計1007万部を突破し、同社売り上げの約30%を占めるまでに成長した。

 同シリーズは、2001年のe-Japan計画にもとづくIT講習会で、テキストとして採用する地方自治体が急増したことが浮上の契機になった。「全国50か所にショールームを持ち、デモンストレーションやセミナーを開催している。また、パソコン教室は全国60会場に150教室持っているが、ここで現場の教育に当たっているスタッフが書き下ろしているのが『よくわかるシリーズ』。たとえば、初心者向け教育であれば、どこでつまずくか熟知している」と、松尾社長はわかりやすさの秘訣を明かす。

 これまでは、マイクロソフトのワードやエクセルなどの入門書として同シリーズが基盤を築いてきた。だが現在は、各種資格取得を目的とした「よくわかるマスター」、より専門的な知識を盛り込んだ「よくわかるITプロ」のシリーズ強化に力を入れている。現在同社の社員は560人。このうち、主要資格取得者は、マイクロソフトのMOT(オフィシャルトレーナー)235人、MSS(営業スペシャリスト)8人、MCSE(認定システムエンジニア)13人、MCP(認定プロフェッショナル)142人、MCT(認定トレーナー)5人、初級システムアドミニストレータ168人、.comMasterが109人を数える。

 「これだけ社内にスキルを持った専門家集団を抱える企業はそうはないはずだし、日夜教育という視点でノウハウを積んでいる企業になると皆無のはずだ。出版のノウハウもわかってきたので、大手パソコンショップには専用コーナーを設けるなど、今年は販売ルートの拡大にも力を入れ、知名度を上げていく」意向だ。あわせて、こうしたリアルのビジネスで培ったノウハウをウェブサービスにも本格展開、eラーニングとしてのインテレッジ(interledge)、eエディティングとしてのインターエディッド(interedit)事業を軌道に乗せていく方針だ。
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