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中国でSMSが大ブレイク 1兆6000億円の市場が誕生

2003/02/24 19:12

週刊BCN 2003年02月24日vol.979掲載

 2002年11月で2億、03年末までには2億5000万回線以上に達するといわれる中国の携帯電話加入数。日本の総人口の2倍にも相当しようかというこの巨大ネットワークでは、旧正月のあいさつという伝統的な習慣をきっかけとして、SMS(ショートメッセージサービス)が爆発的に流行した。中国ITの救世主とも言われ始めているこのSMSが注目を集めている。

 中国では新年を旧正月で祝う。旧正月を中国語で「春節」という。今年の「春節」は2月1日だった。「春節」では日本の正月と同じように、やはり新年のあいさつが交わされるが、最近では携帯電話の普及によってその様相もかなり変わってきている。そのポイントは何といってもSMSだ。

 「新年のあいさつはSMSで」、これが今年の「春節」の合言葉だった。この期間は中国ではゴールデンウィークとなるが(今年は2月1日から7日)、その7日間のSMS利用件数が56億通とも70億通を超えたともいわれている。

 中国の全人口(12―13億人)をもとに算出したとしても1人当たり5、6通は送信していることになる。中国の携帯電話加入数は02年で2億人を超えた。それで換算すると1人当たり28―35通。携帯電話加入全体のうちSMSの利用率が40%といわれているから、この数十億通のショートメッセージは中国人の1.6億人(それでも全人口のわずか10%弱)によって送信されたことになる。

 2億という膨大な携帯加入数だが、中国全土の普及率では依然20%にも満たない。しかし、北京や上海などの大都市ではすでに50%を超えている。しかも、この2つの直轄市はそれぞれ1000万以上の人口を抱えており、それだけでも相応の経済実態となっている。北京や上海などより情報化が進んでいるといわれる広東省の人口は1億以上だ。

 SMSの1通当たりの料金は大体0.5元(1元=約16円)とされているから、この新年7日間におけるSMSだけの経済効果で30億元前後、日本円で500億円近くにもなる。規模ばかりが大きくなって、経済効果がなかなかともなわないとされる中国ITにおいて、「SMSが中国ITを救う」とまで言われ始めている。

 01年通年のSMS利用件数は175億通だった。02年には750億通にも達したともいわれているが、それでも今年の「春節」の7日間に、いかに中国のSMS利用件数が集中したかがうかがえる。

 03年の中国の携帯電話の新規加入数は月間400万以上、年間で5000万増えるといわれており、03年末には2億5000万という人類史上未曾有の携帯ネットワークが中国に誕生することになる。

 こうした状況を踏まえ、03年にはSMSの利用件数が2000億通に達するのではと見る向きもある。経済効果としては実に1000億元。ちなみに中国最大手の移動体通信業者で、世界最大の携帯電話加入数を有す、中国版NTTドコモ「チャイナモバイル」の01年通年売上が1000億元である。今年には日本円で1兆6000億円の市場が誕生する。「SMSが中国ITを救う」も、あながち楽観的すぎる見方ではないかもしれない。(サーチナ・有田直矢)
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