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スカイリー・ネットワークス 組み込み型通信ソフト売り込みに拍車

2003/03/03 19:14

週刊BCN 2003年03月03日vol.980掲載

大手電機メーカーが採用へ

 スカイリー・ネットワークス(梅田英和社長)は、組み込み型のPtoP(ピア・ツー・ピア)通信ソフトの販売に本腰を入れている。同社は、無線機器を使いPtoP方式で通信するソフト「デセントラ」を開発。これまで電機メーカーやカーナビメーカーなど約20社が組み込み用デセントラの専用開発ツール(価格100万円)を購入したものの、ソフト自体の正式な納入実績はなかった。だが、ここにきて大手電機メーカーが正式に同ソフトの購入に踏み切るなど、正式採用に向けて大きく前進している。

 同社は、昨年6月にシステム構築のネットイヤーグループと同ソフトの販売提携を結んだのに続き、今年2月には内田洋行と販売提携をした。当面は、営業力のある企業との提携を通じてPDA(携帯情報端末)など柔軟性が高い機器への製品販売を進め、また一方で、電機メーカーを通じた組み込み需要を取り込んでいく方針。携帯電話メーカーやカーナビメーカーなどと商談を進める。

 梅田社長は、「専用機器への組み込みが成功しなければ、最終的にビジネスとして成功しない」と、組み込み型の商談に意欲を示す。これまで同ソフトの納入実績はないものの、この春までに大手電機メーカーへの正式採用が決まる。

「乾電池で動く超小型のPtoP通信機器として仕上げれば、用途が一気に広がる」と話す。例えば、家庭用のガスメーターの検針では、担当者が一軒ずつ足を運んでいる。これにPtoP通信機器を活用すれば、何十台をまとめて検針できる。集合住宅では、各戸のガスメーターが接近しているので、微弱な電波でも隣から隣へと“バケツリレー方式”でデータの転送が可能だ。強い電波の無線ネットワークを構築しなくても、単純な仕組みで電力消費が少なく、なおかつ広範囲にわたるデータ通信が可能になる。

 PtoP通信とは、サーバーを介さず、端末同士で直接通信する方式。有線にも無線通信にも応用できるが、同社は無線に特化したPtoPソフトの開発に力を入れる。近くにいる端末同士を、バケツリレー方式でデータを転送するため、専用のネットワークを構築する必要がないのが利点。

 同社は、投資会社のグローバル・ブレインが約30%、グローバルメディアオンライン(旧インターキュー)が約23%、その他、同社役員などが出資する資本金5000万円のベンチャー企業。
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