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NECカスタマックス、富士通、ソーテック 販売店仕様モデルで需要を喚起

2003/03/17 19:14

週刊BCN 2003年03月17日vol.982掲載

「既製品」の拡販も狙う

 パソコン専門店や量販店などの各販売店向けに特化したパソコン「販売店仕様モデル」が、重要な商材となりつつある。NECカスタマックス(片岡洋一社長)が販売店仕様モデルの売上比率を20%弱まで伸ばすことを明らかにしているほか、富士通(秋草直之社長)も20%前後の売上比率を維持。ソーテック(大邊創一社長)ではこのほど、特定の販売店向けに低価格パソコンの卸販売を開始した。販売店仕様モデルは、各販売店が確実に販売するという契約をメーカーと結ぶので、メーカーにとって一定の売上高が期待できる。加えて、メーカー製「既製品」パソコンの拡販も狙うことができる。

 NECカスタマックスでは、個人向けパソコン市場において、販売店仕様モデルの売上比率が全体の15%程度を占める。前澤光史・PC営業事業部部長代理は、「この比率を20%弱まで引き上げる」と意気込む。同社は、各商戦において5、6社のパソコン専門店や量販店に販売店仕様モデルを提供。このスタンスを変えずに、「アイテム数を増やしていく」構えだ。

 富士通では、販売店仕様モデルの売上比率が20%程度で、10社前後の販売店に提供している。三竹兼司・パーソナル販売推進統括部第一販売推進部部長は、「売上比率が増えていくことはないが、かといって減ることもない」と現状を維持し続けることを示唆。販売店仕様モデルは「最近は、買い替え需要が多くなったので、各販売店の特性が出せる商材」と位置づける。

 ソーテックでは、米イーマシーンズに対抗した5万円クラスの低価格モデルを3月上旬からPCデポコーポレーションに卸販売を始めた。低価格モデルは、ラオックスをはじめ、イーマシーンズを扱う九十九電機と競合が激しい店舗から引き合いが急増しているという。

 今後は、同社と取り引きがある販売店向けに順次卸販売をしていく。佐藤滋俊・執行役員営業本部企画部部長は、「買い替え需要を開拓できる点でメリットが高い」と強調する。

 販売店仕様モデルは、各販売店ごとにメーカーの仕様が異なるため、ある一定の販売台数を売り切ることが前提となる。そのため、メーカーにとっては一定の売上高が期待できる。販売店にとっては、自店舗にしかない商材を用意し、競合店舗との差別化を図ることで来店者数の増加につながる。

 春商戦について、NECカスタマックスでは、「昨年と比較して話題性に欠け、市場規模は前年同期比5-10%減になるのではないか」(前澤部長代理)と分析。そのため、「顧客は、パソコンで何をしたいかによって、購入するパソコンを決める。最近では、BTO(受注生産方式)や自作パソコンの需要が増えつつあり、メーカーとしてもパソコンの選択肢を増やすことが重要だ。そのなかで、メーカー製パソコンの特性をアピールしていけば、『既製品』の拡販にもつながる」と語る。

 富士通でも、「市場規模では、前年同期比5-10%減と厳しい状況が続く」(三竹部長)とみており、「既製品は、ショップブランドのオリジナルパソコンと比べ、何かに特化しているわけではない。そのため、買い替え需要が多くなるにつれて、オリジナルパソコンをはじめとした比較的低価格なパソコンを購入するケースが増えていくのは確かだ」と指摘。だが、「保守やサポートなどの信頼性が既製品の最大のメリット。この安心感に加えて、『ホームネットワーク』を切り口とした用途提案を訴求していく」としており、「デスクトップ市場で25%のシェアを獲得し、前年同期比10%近くの増加を見込む」と強気だ。

 ソーテックでは、「他社のパソコンと比べて、『安い割には性能がよい』点をアピールしていき、20%近いシェアを目指す」(佐藤執行役員)としている。
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