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インターネットナンバー 創業社長ら役員全員を解任

2003/03/24 19:14

週刊BCN 2003年03月24日vol.983掲載

 インターネットナンバーは、社員約20人のうち幹部社員など約15人を4月中に解雇する。すでに、創業社長の名和正夫氏以下、役員全員が3月6日の臨時株主総会で解任されており、同社のサービス継続に疑問の声があがっている。

 同社は、数字とウェブアドレスを連動させるサービスを手がけるベンチャー企業。ローマ字の代わりに数字を使うことから、携帯電話やテレビのリモコンでも簡単にウェブのアドレスを入力できる。企業を中心に1100社が同サービスを利用している。

 事業拡大のため、1998年頃からベンチャーキャピタルなどから総額約20億円の出資を順次受け入れた。しかし、収益基盤が確立できず、昨年までに累計約22億円を支出し、差額約2億円の資金不足に陥った。名和前社長は、①インターネットナンバーの特許、②創業社長として所有する自社株―を担保に約2億円を広告代理店や交流のあった企業から借り入れた。

 だが、結果的に、借り入れた資金を返済できず、株式と特許が他者に流れたことが原因となり、役員を解任されることになった。代わりに役員や監査役に就任したのは、山一證券や国際証券、日本長期信用銀行、山種証券、安田信託銀行などで業務経験のあった生え抜きの銀行・証券マン6人。臨時株主総会で株主の3分の2の賛成を得て創業メンバーを退任させた。

 解任された名和前社長は、「新しい経営陣は創業メンバーの役員ばかりでなく、社員20人の大半を解雇してしまった。こんな状態でサービスを継続できるのか疑問だ。私はインターネットナンバーにすべてを賭けてきただけに残念」と語る。

 他の関係者は、「これまでauしかインターネットナンバーを公式採用していなかったが、今年4月以降、Jフォンやiモード、Lモードなどでの採用もほぼ決まりかけており、収益性が見えなかったわけではない。だが、主要な社員のほぼ全員を解雇したことで、これまでの商談が立ち消えになる可能性もある。新経営陣は、極端な人件費削減で無理矢理黒字化し、(会社やサービスを)売り抜けることも考えられる」と話す。

 同社の今年度(03年3月期)の売上高は前年度並みの2億円で、当初計画の半分程度しか達成できない見通し。
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