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日立情報システムズ 年間20件の自治体合併案件狙う

2003/03/31 19:14

週刊BCN 2003年03月31日vol.984掲載

 日立情報システムズ(高須昭輔社長)は、4月以降の1年間で20件の自治体合併案件の獲得を目指す。この3月末までに、すでに4件の合併案件を獲得した。これら“市町村合併ビジネス”では、約200人のSE(システムエンジニア)を投入しているが、新規案件が増えた段階で、新たに100人のSEを追加、必要に応じてさらに増やす方針だ。

すでに200人のSEを投入

 日立情報システムズでは、合併特例法の期限である2005年3月末までに、全国3000余りの市町村が、2500程度までしか減らないと独自に予測している。

 合併特例法制定当初は、1000自治体まで減らすことが掲げられていた。同社でも1500くらいまでは減ると予想していた。だが、合併の動きは意外に遅く、このままでは時間切れになるところが多い。

 増田勝二・公共情報サービス事業部企画課課長は、「総務省では、05年3月末までに合併を完了しなくても、合併当事者の議会で正式決定し、都道府県知事に上申した段階まで漕ぎ着ければ、合併特例法による優遇を受けられる方向で動いている。このため、合併にともなうシステム構築は、さらに後ろへ延び、商談期間は今年4月から丸々2年間あると予想している」と話す。

 短期決戦で勝負を賭けた合併ビジネスだが、「2500程度までしか自治体数が減らない。しかも30万人規模の大規模合併が少なく、100万人を超えるような政令指定都市規模の合併は数えるほどしかない。このため案件は小振りになるだろう。当社がこれまでに獲得した合併ビジネスも、最大が4万5000人。まだ10万人規模の合併案件は獲得していない」という。

 同社の自治体向けパッケージソフト「イーアドワールド」は、30万人規模の合併に耐えられる設計にした。

 新規に情報システムを導入する“対等合併”の場合、一般的に言えば、人口1万人あたり1億円の商談になる。30万人なら30億円近くになるが、現状では5万人以下の小規模合併が中心で、商談規模は膨らんでいない。

 来年度(04年3月期)では、最低でも新たに20件の合併ビジネスを獲得する計画で、10万人超の案件の比率を増やしたいところだ。

 数少ない10万人超の大型合併案件の獲得を増やすと同時に、セキュリティなど付加価値の拡大にも力を入れる。同社の個人認証システムをイーアドワールドに組み込み、自治体職員の認証に使う。

 「合併すれば、職員が増え、一時的に内部のセキュリティが弱くなることも考えられる。まずは本人認証のICカード導入などを合併商談のなかに織り込むことで、単価アップを図る」考え。

 同社では、合併ビジネス以前は、全国165市町村に基幹システムの納入実績があった。これを合併特例法の期限である05年3月末の時点で160市町村という数字の維持を目標に据える。
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