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日本通信 無線データ通信で売上増へ 昨年度、創業来初の黒字に

2003/04/07 19:17

週刊BCN 2003年04月07日vol.985掲載

 日本通信(三田聖二社長=写真)は今年度(2004年3月期)、無線データ通信の利用者数を2倍の6万人に増やす。これにより、これまで売上全体の2割程度しかなかった無線データ通信の比率を半分にまで高める。同社は、昨年度(03年3月期)、創業来初の黒字化を達成した。今後は法人向けの無線データ通信サービスで安定的な成長を図ると同時に、情報家電などに前払い式の無線データ通信サービスを新しく売り込む。

 同社は、これまで法人顧客向けに携帯電話の請求書発行サービスなどを手掛けてきた。このサービスでは、請求の一本化や公私区分、料金分析サービス、分割請求などのきめ細かいサービスが受けて、売上高は150億円まで伸びた。だが、通信事業者の料金変更やサービス項目が増えるたびに請求書発行システムを変更するなど、人手による力仕事が増え続け、96年の創業時から02年3月期まで、一度も黒字を達成できなかった。

 この打開策として、無線データ通信サービスの販売ビジネス「MVNO=仮想移動体通信事業」を01年10月から立ち上げると同時に、最も多い時期で160人まで増えた社員を、この3月末までに約90人に減らした。これにより、昨年度の売上高は、請求書発行サービス最盛期の150億円に比べ、半分近い80億円弱に減少したものの、創業以来、初の黒字を出すことに成功した。

 昨年度80億円弱の売り上げのうち、約半分は依然として携帯電話の請求書発行サービスなど音声通話を基盤としている。今後、伸びが期待される無線データ通信サービスはまだ2割程度と小さいが、今年度は利用者数の倍増にともない、売上構成比で約半分にする目標でいる。これまでの累積損失67億円は、創業来初の黒字化を果たした今年3月末で、資本金を取り崩すなどして解消した。このため、資本金47億円は15億円に減った。また、人員のリストラを実施すると同時に、同社のビジネスモデルそのものを携帯電話の音声系からデータ通信へと変えたタイミングで、財務的な健全化を図った。

 三田社長は、「創業以来、厳しい時期もあったが、昨年度から無線データ通信の利用者数が増え続け、収益性は格段に高まった」と自信を示す。無線データ通信では、DDIポケットのPHS網と、NTTコミュニケーションズやJR系の無線LAN網などを借り受けて、付加価値の高いサービスをつくりあげた。NTTドコモのフォーマなど第3世代携帯電話網を借り入れてのサービスも視野に入れる。

 今年度は、ハードメーカーと提携し、前払い式の無線データ通信サービスを本格的に立ち上げる。提携したメーカーは、通信サービスが必要な情報家電などに同社のサービスを使える通信機器を組み込む。顧客は半年や1年単位で通信料金を前払いする方式で同サービスを使う。すでに、オムロンがゲームセンター向けプリクラ機で日本通信の無線データ通信サービスを今年3月に採用。プリクラで撮った写真を利用者の携帯電話に送信する仕組みをつくった。
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外部リンク

http://www.j-com.co.jp/