ニュース

米ヒューレット・パッカード 「PCサーバーは4つの方針でいく」直販ベンダーとの差別化を明確に

2003/05/12 19:20

週刊BCN 2003年05月12日vol.989掲載

 米ヒューレット・パッカード(HP)でPCサーバーを担当するヒュー・ジェンキンズ・インダストリースタンダードサーバー・マーケティング担当副社長は、PCサーバー事業における4つの重点施策、(1)Linuxの強化、(2)ブレードサーバーの本格的立ち上げ、(3)マイクロソフトとの積極的な協業、(4)パートナー販社と組んだ中堅・中小企業向けの販売力の向上――を示した。なかでも4点目については、「デルコンピュータとの差別化においてとくに重要である」と語った。

 Linuxを採用したPCサーバー市場の動向について、HPでは、2006年まで年間約30%ずつ伸びると予測する。世界におけるHPのPCサーバー事業のなかで、Linuxを採用した比率はまだ約15%に過ぎず、「市場の拡大に合わせて、Linux採用を推進する」(ジェンキンズ副社長)という。

 ブレードサーバーについては、「PCサーバー業界全体で、ブレードサーバーの出荷比率はまだ約3%だ。だが、ここ数年で20%程度まで急拡大する」と、成長が見込める市場だと指摘。とくに日本市場においては、「高密度実装により小型化した製品を好む特性がある」とし、ブレードサーバーがほかの市場よりも早く浸透すると読む。一方、マイクロソフトが世界市場向けにウィンドウズサーバー2003(サーバー2003)の販売を始めたことを受けて、HPもこれに歩調を合わせた共同販促活動を本格化させた。

 「マイクロソフトは、サンフランシスコを皮切りに、60日間かけて世界170都市をまわる販促キャラバンを始めた。当社はサーバー2003の開発環境を提供してきたのに加え、プラチナスポンサーでもあるため、キャラバン中、ほかのベンダーとは違う待遇を受けられる」と、マイクロソフトとの協業関係を強調した。中堅・中小企業向けの施策については、「これまで当社は、デルが得意とする中小企業向けのPCサーバーの商品開発に消極的だったと言わざるを得ない。デルは競合他社がいないなかで大いに伸びた。しかし、今年に入り、当社は低価格・高機能のPCサーバーの品揃えを一段と増やしており、十分に対抗できる」と、中小企業向けのPCサーバー市場の勢力図を塗り替える意気込みを示す。

 また、「当社は、ソリューションや保守サポートを供給するパートナー販社が全世界にいる。この点で、競争に対して間違いなく優位に立てる」と話す。日本法人の日本ヒューレット・パッカード(日本HP、樋口泰行社長)では、今年1月にPCサーバー事業の基本戦略となる「二極化戦略」を発表。高性能CPUであるインテルのジーオンプロセッサを8個搭載する高性能サーバーを投入する一方で、7万円を切る普及価格帯PCサーバーにも積極的に取り組んでいる。

 この二極化戦略を国内で発表したのが当時PCサーバーを担当していた執行役員インダストリースタンダードサーバー統括本部長だった樋口泰行・現代表取締役社長兼COO(5月1日付で昇格)である。ジェンキンズ副社長は、「素晴らしい業績を残したミスター・タカ(高柳肇・前社長)が退任するのは残念だが、一方で新任の樋口氏にはとても期待している。PCサーバー担当当時は、私と一緒に仕事をした経験がある。彼は勉強熱心で吸収力のある人材だ」と評した。ジェンキンズ副社長は、1988年に旧コンパック・コンピュータに入社以来15年間、PCサーバー一筋で業績を伸ばしてきた。
  • 1