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アイ・ディフェンス・ジャパン セキュリティ関連の事業領域を拡大 管理者向け教育プログラムなど

2003/05/12 19:20

週刊BCN 2003年05月12日vol.989掲載

 セキュリティ関連情報を提供するアイ・ディフェンス・ジャパン(横山竜太郎社長)は、事業領域の拡大を急ピッチで進め売上増を狙う。2002年1月の事業開始以来、これまでの主な展開はセキュリティ関連の情報提供サービスのみだったが、新たにセキュリティ管理者向けの教育プログラム事業や、ネットワークの脆弱性判断ツールの販売事業をこのほど開始した。

 同社は、伊藤忠商事、伊藤忠テクノサイエンス(CTC)、インテリジェントウェイブ(IWI)の共同出資会社で、02年1月から事業を開始した。

 当初の事業内容は、セキュリティ関連情報の提供サービスのみ。セキュリティベンダーの米アイ・ディフェンスとのライセンス契約で、メールや専用ウェブサイトでセキュリティ関連の情報を提供する「iALLERT(アイアラート)」を手がけてきた。

 独自の情報解析エンジンが24時間365日収集する情報と、研究所やパートナー企業からの情報を、同社のアナリストが分析・検証したうえで情報を提供する。すでに約130社の会員企業を有する。

 同社では、この「アイアラート」に加え、このほど新たに2つのサービスを開始。事業の柱を3つに拡充することで、販売強化を図っていく。

 具体的には、セキュリティベンダーの米ファウンドストーンと提携し、セキュリティ管理者向けの教育プログラム「Ultimate Hacking(アルティメットハッキング)」と、ネットワークの脆弱性判断ツール「FoundScan(ファウンドスキャン)」の販売を開始した。

 「アルティメットハッキング」は、ファウンドストーンが米国で展開している事業で、ウェブサイトや企業ネットワークへの侵入を企てる攻撃者の手口を学び、その対策を習得するための教育プログラム。受講者にはそれぞれ専用のパソコンを用意し、実際の攻撃ツールなどを試しながらスキルを高めてもらう。ファウンドストーンの講師を数人招き、アイ・ディフェンス・ジャパンがプログラムを運営する。

 参加費用は4日間の講義で58万円。3月に第1回のプログラムを開催した。一般企業のセキュリティ管理者だけでなく、シマンテックやベリサインなどのセキュリティベンダーの技術者も多数参加し、「予想以上に好評だった」(川満正博・営業部ゼネラルマネージャー)という。6月には第2回を開催する。「現在は、不定期で開催しているが、来年度以降は定期的な開催を検討している」(川満ゼネラルマネージャー)という。

 一方、「ファウンドスキャン」は、ネットワークの脆弱性診断とセキュリティレベルの管理を行うソフト。独自の技術と言語により、高速スキャン・診断が可能で、また診断と並行しながら分析と報告書が作成できるため、診断開始から報告書作成までが短時間で行える。すでに英語版の販売は開始していたが、6月に日本語にローカライズしたバージョンを発売する予定で、本格的な拡販につなげる。

 川満ゼネラルマネージャーは、「これまで、情報提供サービス事業を展開していたなかで、ユーザーからさまざまな要望が上がってきた。それに応えるために今回2つのサービスを立ち上げた。当面はこの3つのサービスを充実させていき、今年度(04年3月期)は売上高5億円を目指す」意向だ。
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