ニュース

ジール ビジネスインテリジェンス製品が好調

2003/06/02 19:23

週刊BCN 2003年06月02日vol.992掲載

販売代理店網の整備を急ぐ

 ソフト開発のジール(山本秀典社長)が、ビジネスインテリジェンス(BI)の代理店販売網の構築に力を入れている。すでに日本アイ・ビー・エム(日本IBM)が取り扱いに前向きな姿勢を示しており、主に中堅企業向けに販売する意向だ。同社のBI製品は半パッケージ化されており、システム販社などを通じた代理店の流通網経由で販売しやすいのが特徴。

 ジールは、1991年の創業以来、ソフト開発を主軸に、増収増益を続けている。

 社員は約70人で、今年度(03年12月期)の売上高は、前年度比約10%増の9億円を見込む。連結子会社として経営コンサルタントを中心にBI戦略研究所(社員10人)を昨年7月に設立した。

 創業から98年までは受託ソフトウェアの開発が売り上げの大半を占めたが、99年以降、BI製品など自社開発製品の売上比率が高まり始めた。今では、受託ソフト開発の売上比率は半分を下回る。BI製品の半パッケージ化を推し進め、「1つのソリューションのような位置づけで、システム販社などで拡販できるように仕立てた」(山本社長)と話す。

 同社のBI製品は、バランススコアカードなどの分析手法を使い、短期から長期まで幅広いビジネス戦略を打ち立てるツールとして引き合いが増えている。

 バランススコアカードとは、ここ10年来、米国の企業を中心に導入が進んでいる業績評価の指標策定を支援する仕組み。「財務」、「顧客」、「業務プロセス」、「人材と変革」など、それぞれ異なる視点から総合的に経営戦略を分析する。

 同社では、これらをベースに開発したBI製品を統合する名称として「情報戦略系システム」と名付けた。

 BI関連のコンサルティングや分析ツールは日本IBMでも揃えているが、中堅企業向けの製品は手薄だった。

 このため、中堅企業向けのBI製品としてジールとの結びつきを強めている。

 同社BI製品の価格は、分析するデータ量にもよるが、約1000-5000万円。売れ筋は2000万円前後だという。

 山本社長は、「もともとソフト開発やコンサルティング業務が中心なので、どうしても営業力が弱い。当社は独立系のベンダーとして、日本IBMをはじめ、さまざまなベンダーやシステム販社との協業を進める。ERP(基幹業務システム)など基幹系に強いところでも、必ずしも情報戦略系に強いとは限らない。相互補完の関係を築く」と語る。

 ここ数年は、情報戦略系のBI製品の拡販で増収増益路線を進み、将来的には「再び来るであろうEC(電子商取引)の需要の波に乗り、EC関連の分析システムの事業も立ち上げる」方針だ。
  • 1