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エス・エス・ジェイ 第1四半期、ERPが好調な立ち上がり

2003/06/09 19:23

週刊BCN 2003年06月09日vol.993掲載

IT投資は業績連動型へシフト

 エス・エス・ジェイ(SSJ、佐藤祐次社長)の第1四半期(2003年4-6月期)売上高は、前年同期比10%増に達する見通しだ。年度末商戦に当たる昨年度第4四半期(03年1-3月期)の売上高は、同25%減と厳しい結果だったが、年度末から延期になっていた商談が第1四半期の受注へと結びついた。この勢いを維持することで、今年度(04年3月期)の目標である売上高15億円(前年度比7.1%増)、経常利益9000万円(同143.2%増)の達成を目指す。

 SSJは、財務会計や人事給与を中心としたERP(基幹業務パッケージ)を開発するソフト開発会社で、アルゴ21の子会社。年商500-1000億円規模の企業向け市場において知名度を高めている。

 国産ERPの有力ソフトとして業績を伸ばしているが、昨年度(03年3月期)は増収ではあったものの、経常利益が前年度比約52%減の3700万円となった。

 これは、昨年度第4四半期の落ち込みが大きかった影響によるもの。この反動を受け、今年度第1四半期は、売上高で前年同期比10%増で推移している。

 佐藤社長は、「顧客企業のIT投資のタイミングが変わってきている。従来の予算消費型だと年度末(3月)に集中的に商談が成立するが、ここ1-2年で業績連動型に変わってきている」と指摘する。

 具体的には、上期(4-9月)は前年度の業績に応じて投資し、下期(10-3月)は通期の業績見通しに応じて投資する傾向が顕著になっているという。

 SSJの昨年度の売上比率は、上期が55%で下期が45%となり、上期が下期を上回った。従来のような予算消費型の投資が主流であるときは下期に発注が集中しやすかったが、それが逆転している。

「今後もこうした逆転現象は続くだろう。今年度上期は、昨年度に仕掛けた商談の収穫と、新しい商談の仕込みが同時に進行している。昨年度の年度末需要は予想以上に落ち込んだため減収になったが、その分の商談は今年度上期に移行しており、通期では増収増益を達成できる」と手応えを強めている。

 この6月からは、人事・給与管理パッケージの新製品を順次投入しており、この売り上げが加わることも目標達成の追い風となる。

 昨年度は、主力の財務会計系パッケージの売上が全体の8割を占め、人事給与系パッケージは2割に過ぎなかった。だが、今年度は、投入初年度ということもあり、人事給与系の売上比率が3割に達する可能性もあるという。

 人事給与系のバージョンアップがひと通り済んだことを受けて、今年度は次期主力製品となる財務会計系のシステム開発に着手する。今後3年ほどの時間をかけて完成させる計画で、開発費として年間約3億円を投入する。開発は、現行製品と同様、親会社であるアルゴ21を窓口にして発注する。

 販売パートナーへの支援策としては、今年4月に新しく「サービス本部」(約12人)を開設した。サービス本部では、年2回のソフトウェア保守などを支援する。

 ソフトウェア保守の年間保守料は、ソフトウェア価格の15%で、このうち販売パートナーが10%、SSJが5%を得る仕組み。SSJだけの保守売上でも年間約4億円に達する。

 この保守契約率を高めることが安定的な収益を確保するキーになることから、パートナー販社と協調しながら、契約率を高める方針だ。
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