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日本ユニシス 企業の基幹業務をウェブシステムで構築

2003/06/16 19:23

週刊BCN 2003年06月16日vol.994掲載

 日本ユニシス(島田精一社長)は、ウェブの操作性とレスポンスタイムを改善することで企業の基幹業務システムを構築できる「ウェブクライアント・ソリューション」の提供を7月から開始する。クライアントサーバー・システム(C/Sシステム)で課題となっていた管理負荷を軽減し、サーバーとストレージを「センター集中型」にできることから、システムコストを大幅に削減できるという。事業所や支店を多くもつ従業員5000人規模以上の企業を対象に、システムの再構築需要を見込んだ戦略を進めていく。C/Sシステムからの変換サービス事業を含め、ソリューション・ビジネスの柱の1つに育てる方針だ。

新たなソリューションを展開

 同事業は、ウェブによる基幹業務のスムーズな実行環境を整備するために必要なハードウェア、ソフトウェア、サービス、ネットワーク構築を組み合わせたソリューション。LANやWAN(広域通信網)などの企業内ネットワーク環境を使わず、ADSLなど低価格ブロードバンドのインターネット経由で業務を実行することができる。

 企業にある既存のウェブシステム環境を最大限活用するのが同事業の特徴。システム構築では、クライアント(パソコン端末)側にブラウザ以外のクライアント・モジュールをダウンロードするほか、画面定義情報も業務システムに不向きなHTMLではないプログラミング言語で作成することで、C/Sシステムと同等の操作性やユーザーインターフェイスを確保できるという。加えて、C/Sシステムからウェブへの変換をスムーズに行うサービスも提供する予定だ。

 このシステムが構築されると、大企業の本社などでアプリケーションの実行環境やデータを「センター集中型」で管理することができる。従来、それぞれの事務所や支店に置いていたサーバーストレージがセンターに一本化される。また、低速な通信回線「ナローバンド環境」でも、通常のウェブに比べ5-10倍の応答速度が期待できるほか、ウェブサーバーの動作環境も問わないため、標準的なウェブシステム構成で同ソリューションが利用可能だ。

 同社では、C/Sシステムを新規に導入したモデルとして、UNIX基幹サーバー2台、50拠点(営業所・支店)分のサーバーの設置、パソコン1500台のうち500台のマイグレーション(プログラムの移行・変換)を実施した場合を総額7億円と試算。これに対し、今回のソリューションは、基幹サーバー(ES/7000)1台の設置、ウェブサーバーとソフトのライセンス、パソコンのマイグレーションなどを含め3億5000万円と、C/Sシステムの新規導入に比べ導入コストを半分に抑えることができるとしている。

 今回の事業を企画した村上努・サービスビジネス統括部プラットフォームビジネス開発部第一グループマネージャーは、「マイクロソフトのプログラミング言語『ビジュアルベーシック』や『ビジュアルC++』のアプリケーションをウェブ化したいという要望が多かった。手馴れたエンジニアなら、今回のソリューション環境では、工数を短縮し企業のプログラムを開発できる」としている。

 同事業は、2月からのテストマーケティングの段階で、すでに5000人規模の企業1社から受注しているほか、金融関係などとの導入交渉が始まり、「かなりの需要が見込める」と期待している。
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