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コダック デジカメ市場再参入を計画

2003/06/30 19:22

週刊BCN 2003年06月30日vol.996掲載

 イーストマン・コダックがデジタルカメラ市場再参入の準備を進めている。現在、コダックは日本市場向けの出荷を事実上見合わせており、BCNランキングの台数シェアは0.03%(5月の月次集計)しかない。しかし、この4月、オリンパス光学工業のデジカメ事業を立ち上げた小島佑介・元オリンパス光学工業執行役員を米イーストマン・コダックの副社長に招き入れ、同事業のテコ入れに力を入れている。

ワールドワイドでトップシェア狙う

 コダックは、欧米市場では、ソニーやオリンパス、キヤノンなど日本勢のなかにあって健闘しているものの、日本市場ではシェアは低い。小島副社長は、「日本市場では、有力メーカーが、3-5万円の価格帯のなかでわずかな機能の差を競い合っている。これは世界市場から見て特異。開発サイクルも短く、米国市場に基軸を置いてきたコダックにとって不利だった」と語る。

 これを受けて、「当社では、2004年春までのデジカメ製品の開発は、すでに決定済み。日本市場で闘えるよう手直しできるとしても、わずかなものだ。本格的な新基軸を打ち出す新製品は来年後半からになる。もちろん日本市場だけを狙ったものではないが、世界のデジカメ市場の約25%を占める日本市場を落としたままで、世界のトップデジカメメーカーにはなれない」と話す。

 従来、コダックのデジカメは、どちらかと言えば、安い価格帯か、あるいは100万円以上の業務用に強い傾向があった。今後は、これら強い分野に加えて、日本メーカーが得意とする、高付加価値で一般ユーザーに手の届く価格帯の製品を開発する方向性が有力だという。日本市場への参入時期については、「ここ1年は商材が揃わないため、大きな販売活動は展開できない。来年後半、新しい商材が出てきた時点で、再参入の機会を狙う。デジカメ事業はコダックの中核ビジネスであり、この分野で利益を上げるために、私がここ(コダック)へ来たのだと考えている」と意欲を示した。

 商品開発の次の課題は、営業戦略だ。「これまで国内では、フィルム営業の延長線上でデジカメを販売してきた。そこで、来年に向けて本格的なデジカメ営業部隊を組織しなければならない。デジカメは、フィルム販売の片手間でシェアを伸ばせるような市場ではない。もっとも、最初は比較的少人数で立ち上げることになる」と話す。

 コダックは、デジカメなどの開発子会社であるチノンを保有し、中国上海に生産拠点を開設している。「デジカメの心臓部で、フイルムに相当するCCD(電荷結合素子)の開発では実績がある。これら総合力を発揮すれば、国産勢に十分対抗できる商品を開発できる」と意気盛んだ。
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