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高輪サロン交流会 次世代のIT人材育成、NPO法人化目指す

2003/06/30 19:22

週刊BCN 2003年06月30日vol.996掲載

 IT企業の経営者らによる任意団体である高輪サロン交流会(土屋陽一会長=メイプランニング代表取締役)は、起業家や次世代のIT人材を育成しようと、新規会員の獲得に取り組んでいる。昨年4月には「将来的にはNPO(民間非営利団体)の法人格取得を目指す」(柿澤晋一郎副会長=三和コムテック社長)ため、正式に会則を規定。政策提言をした上で、業界の発展に寄与する団体に成長させたい考えだ。

新規会員獲得に取り組む

 同会は1997年4月、十数人の親睦団体として発足した。現在までに正会員とオープン会員(会費無料)で約200の団体にまで成長した。会員は、IT企業のシステム担当者を中心に監査法人や公認会計士、人材派遣業、教育関連など異業態の団体関係トップらで構成されている。会員のなかから数社のベンチャー起業が生まれ、会の助言などを受けて一部はIPO(株式公開)を果たしているという。

 活動は年4回。四半期に1回程度の例会を開いているほか、今日的な課題にもとづく分科会を不定期に行っている。例会では、ISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)取得ビジネスやITアウトソーシング、中国のIT事情、CRM(顧客情報管理)、戦略的ソフトウェア事情――といった今日的なテーマのほか、会員が在籍する企業の戦略や新製品を題材にビジネスチャンスなど、経営者クラスの会員からホットな情報が提供されている。

 会発足と同時に日本アイ・ビー・エム(日本IBM)の佐伯達之元副社長が加入したことで、日本IBM出身者や同社から独立して開業した経営者らの会員が増えた。

 しかし、「当会が広く政策提言をし、次世代のIT人材として『ジュニア』を育成するためにも、日本IBM以外の多方面から会員を獲得したい」(柿澤副会長)と、公益性のある団体への変革を急いでいる。

 今後の活動としては、会員が在籍する企業の新規事業開発や既存事業支援活動、30歳代の会員による「JUNIOR会」の本格的な発足、メールマガジンの開設、各種IT認定試験との協賛事業などを進める。今年中には正会員を200人まで拡大し、30歳代のジュニア層も30人まで増やす計画。来年前半にはNPO法人への登録申請を行う方針だ。

 土屋会長は、「当会には、IT業界の業種・業態別に網羅したエグゼクティブクラスの人材が揃っている。会員同士で事業のアライアンスを組んだり、チャネルの開拓にも役立ち、起業を目指す人に新規事業の立ち上げやIPOの手伝い、資金調達のアドバイスなどができる」と強調する。

 入会は現会員の推薦が必要だが、IT業界に関わらずIT事業に興味のある人を募集している。入会金は2万円、年会費が3万円。同会のホームページなどで申し込みを受け付けている。
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