ニュース

ソフトバンクBB ソフト流通改革に意欲

2003/07/07 19:28

週刊BCN 2003年07月07日vol.997掲載

 ソフトバンクBBは、ソフト流通の在り方を抜本的に変える方針を示した。現在は、パッケージソフトを店頭に並べる従来型の流通スタイルが主流だが、今後、ブロードバンド(BB)回線を駆使したソフト流通網の構築を急ぐ。

ブロードバンド流通網の構築急ぐ

 基盤インフラとなるのがヤフーBBなど同社が展開するBB回線サービス。この流通網を早期に完成させ、ソフト流通の主軸をBB上に移行させる。同社の流通事業のうち、ソフトウェアの取り扱い比率は約7割を占め、主力商材となっている。

 ソフトバンクBBの宮内謙取締役副社長(写真)は、「BB流通網をもたないディストリビュータ(流通事業者)は生き残れない」と予測する。同社は、家庭向けにヤフーBB、法人向けにアイ・ピー・レボルーション(真藤豊社長)がBB回線サービスを提供している。ヤフーBBは5月末時点で約268万契約に達している。「流通事業とブロードバンド事業を今年1月に統合したのは、次世代流通網を構築するためという側面もある。ソフト流通は、ライセンス販売、ダウンロード販売、ASP(サービスの期間貸し)販売など、BBインフラ上でさまざまな形態に変化する」と話す。

 すでにソフトメーカーとの取り引きにも影響が出始めている。宮内副社長は、「ソフトメーカーから、例えば、5000本買い取り、店頭に並べて欲しい、という要望を受けたとする。しかし、これを量販店の棚に並べてもどうしようもないと感じることもある」と話す。「例えば、NTTドコモのiモードで、着メロなどのコンテンツを何十億円も売り上げたソフトメーカーがある。これと同じことが、BBインフラ上でも必ず起こる」と断言する。

 ソフトバンクBBでは、ADSLや光ファイバーなどインフラの開発競争はすでに終了し、今は顧客獲得競争の段階にあるとしており、この次に来るのは“コンテンツ競争”だという。

 コンテンツの主役となるのが、ソフトメーカーが開発するソフトウェアだ。「BBを活用した次世代ソフト流通網の構築はわれわれソフトバンクBBの仕事だ。この舞台のうえで俳優や女優になるのがソフトメーカー。ただしその前に、ソフト流通に対する頭の転換が必要」と指摘する。コンシューマ向けのソフト流通だけでなく、法人向けのソフト販売にもBBインフラをフルに活用する。「例えば、システムインテグレータとアイ・ピー・レボルーションが協力関係を結ぶことで、コンピュータの付加価値を最大限に高められる。とくに中小企業は基本的にサーバーの管理ができない。BB回線を活用したASPなど新しいサービス開発に取り組む」と話す。
  • 1