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NEC 知的資産を活用して収益力アップ 特許や技術をウェブで公開

2003/08/04 19:30

週刊BCN 2003年08月04日vol.1001掲載

 NEC(金杉明信社長)は、同社が保有する特許や技術などのIP(知的資産)を有効活用して収益力の強化を図る目的で、ウェブサイト「イノベーションマーケットプレイス」を開設した。

 同サイトでは、知的資産を103件公開しており、異業種の企業など潜在顧客とのコラボレーションの機会を増やしていく。今後3年間で50件の契約を目指し、500億円規模の事業に成長させる計画だ。

 公開されているのは、同社が保有するライセンス可能なコンピュータ、ソフトウェア、通信システムなどの特許や技術のほか、それらを具体化するエンジニアリングサービスなど約5万件のIPのうち103件。資産情報は同社内の知的資産評価を経て、順次更新される。

 利用者は、同サイトに無料登録するだけで、特許や技術の1次情報を閲覧できる。毎月1件を「今月の一押し技術」として詳細に紹介しているほか、試作品製作やライセンスサービス提供などの申し込みができる。

 同社では2002年4月、社内に知的資産事業本部を設立し、戦略の策定や実行、戦略特許取得の推進を進める「CPO(チーフ・パテント・オフィサー)制度」をスタートさせた。

 同時に知的資産を商材とした第三者企業と事業を立ち上げるために特設の営業本部も設置し、すでに中国の上海広電とはTFT液晶ディスプレイに関する合弁事業を開始している。

 これまで、同社の知的資産は自社使用を主に想定してきたが、「異業種の企業とのコラボレーションを拡大し、NECの知的資産を利用した事業チャンスを増やす。これが、業界の発展と新たな事業開拓の一助になれば」(広崎膨太郎・執行役員知的資産事業本部長)と、同サイトをビジネスインキュベーションのプラットフォームに発展させたい意向だ。

 同サイトは、今年6月下旬から試験的にオープンしていたが、すでに衛生陶器メーカーや製薬会社などから数件の共同事業化の申込みが入っているという。

 また、英語版での情報発信をしていることから、将来的には外国企業とのコラボレーションも広がりそうだ。

 広崎本部長は、「今後は、協業の申し込みに対し、それをどう成長事業に発展させるかを企画するプロダクト担当を育成する必要がある」としている。

 アドレスはhttp://www.ipr-nec.com/
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