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中国の知的財産権 違法の認識高いが海賊版は氾濫 問題は正規版の高すぎる価格
2003/09/01 19:32
週刊BCN 2003年09月01日vol.1004掲載
この調査は上海新秦信息諮詢有限公司(上海サーチナ)が2003年8月1日から10日まで、傘下サイト「新秦調査」でオンラインモニターを利用して行ったもの。有効回答数は7928件。
ソフトウェアの正規版が中国で普及しない要因について聞いた(複数回答)ところ、「価格が高い」が85%となったのと比べ、「知的財産権についての認識が甘い」や「正規版に対する法的保護が十分ではない」との認識はそれぞれ30%程度にとどまっている。
中国では01年12月、「ソフトウェア保護条例」が公布され、02年1月から施行されている。
これは91年に施行された旧保護条例を改正したもの。この法律はソフトウェア知的財産権の徹底的な保護を明記している。
流通しているソフトウェアの96%が海賊版ともいわれる中国だが、法律はしっかりと整備されている。ではその認知度や遵法精神に問題があるのか、というとそうでもない。
今回の調査でも知的財産権の知識普及や法整備はすでに必要なものではなくなってきている、少なくとも一般消費者はそう考えていることがわかる。
一方で、今回の調査はオンライン調査であるために、日常的にインターネットに触れている13億の人口のわずか一部、7000万人程度のさらにその中のごく一部の意見を反映したものともいえるが、中国において海賊版の氾濫イコール知的財産権知識の欠如という等式は完全には成立していない。
では、中国において、なぜ海賊版が氾濫するのか、あるいは正規版が普及しないのか。
OSの適正価格を聞いてみたところ、「50-200元」に多くの回答が集中した。海賊版のOSは10元以下でも買えるのだから、この価格帯は海賊版が氾濫する中国においてはかなり多くのお金を払う意思を見せているといえる。
しかし正規版のOSは、Linuxでもない限り中国でも1000元以上。正規版の価格が下がれば、海賊版がいくら氾濫しようとも正規版の普及が進むことを示すデータとなっている。正規版の価格の高さこそが中国において海賊版を氾濫させる第1の要因となっているのだ。(サーチナ・有田直矢)
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