ソフトウェア製品の開発や販売を行う三和コムテック（柿澤晋一郎社長）の主力製品であるEAI（企業内システム統合）ツール「eLECTRAN（エレクトラン）」が、販売を急速に伸ばしている。

　企業内に分散するシステムを統合する上で、他社製EAIツールに比べ、「最小の開発費と最短の開発期間で導入できる」（柿澤社長）ことが評価され、流通や製造業界を中心に導入が進んでいる。今後は新たなチャネル教育を進めパートナーを拡大する計画だ。

　エレクトランは、同社が米エレクトラン社と共同開発し2000年5月から発売しているロングラン製品。受発注業務や在庫確認、出荷指示、商品販売などの業務を、インターネットを通じたアプリケーションで行う。社内外で活動する営業担当者がモバイル機器から基幹システムに直接アクセスできるのが特徴だ。導入時には基幹システムの変更やカスタマイズも不要。

　パソコンのブラウザからは、IBMのiSeries（AS／400）やzSeries（S／390）のほか、富士通、日立製作所、NECのホストシステムへ直接アクセスでき、低コストで導入できる。また、各ホストの基幹アプリケーションを容易にウェブ化できる。エレクトラン上では、企業側が定義したXMLスクリプトに従い、基幹システムの画面とブラウザ画面が自由にリンクでき、「ユーザーに使いやすいブラウザ画面にリアルタイムに表示できる」（藤田幸久・常務取締役）としている。

　また、エレクトランにはオプション製品として、携帯電話やPDA（携帯情報端末）から基幹ホストシステムへのダイレクトなアクセスを可能にする「Mobile Access Option（モバイル・アクセス・オプション）」や、ホストシステムの印刷データを手元のプリンタで印刷できる「Print Option（プリント・オプション）」も揃えている。

　エレクトランは今年8月末までに約280ライセンス（サーバーベース）を納入、今年に入っても受注が増えている。

　販売にあたっては現在、代理店として58社と契約しているが、今年6月に研修センターを設けるなどして、導入に関するチゃネル教育を強化、システムインテグレータなどのパートナーも開拓する計画だ。

　エレクトランは今年から、ISV（独立系ソフトベンダー）のアシストにOEM（相手先ブランドによる生産）提供、「MF@dvance（エムエフアドバンス）」というEAIツールとして販売を開始。エレクトランには開発1案件で300‐1500万円の売り上げをもたらすが、三和コムテックは「このツールだけで、今年度（04年3月期）は2億5000万円の売り上げを見込んでいる」（藤田常務）という。