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中国ゲーム市場 拡大するオンラインゲーム シェア握る韓国メーカー

2003/10/06 19:35

週刊BCN 2003年10月06日vol.1009掲載

 中国大手ソフトウェアベンダー、金山軟件(キングソフト)が自社製ゲーム、「剣狭情縁」のオンライン版公開テストを開始した。現在、中国のオンラインゲーム市場は、圧倒的にシェアを韓国ゲームに奪われている。関連産業を含めた市場規模は100億元ともいわれ、急速に成長している同市場で、中国メーカーによる韓国勢の牙城崩しに一石が投じられた。

 金山軟件は10月20日、自社版オンラインゲーム「剣狭情縁」のリリースにあたり、北京、上海など11都市で関連イベントを開催。多数のゲーマーが集結し、大盛況を収めた。インターネット上でのマルチ対戦や交流ができるオンラインゲームの魅力は、中国でも多くのユーザーの興味をひきつけており、利用者も急増している。

 2003年初頭の中国でのオンラインゲームユーザーは1000万近くに上り、このうち50%以上を有料ユーザーが占めている。オンラインゲーム市場単体の規模は、今年中には20億元に達する見込みで、今後3年で100%程度の成長率を維持、周辺産業に1000億元の経済効果をもたらすと予測されている。

 しかし、中国のオンラインゲーム市場は、実質90%のシェアを韓国ゲームに奪われているのが現状だ。

 こうした情況に、中国オンラインゲーム各社は基本的に代理運営の地位に甘んじている。代理経営は、高額の版権料を支払うほか、製品販売期間に収益の一部を提供者に支払い続けなければならない。特に問題とされているのが、コア技術を握られており、製品のサービス水準や技術的サポートを完全に干渉されることにある。

 そこで、この現状打開に打って出たのが金山軟件。中国最大手ソフトウェアベンダーの金山軟件は、中国版オフィスの「WAP」やウイルス駆除ソフトなどで有名。

 その同社が今年からオンラインゲームに力を入れている。同社はオンラインゲーム「剣狭情縁」の研究開発に3年を要し、その投資総額は4000億元に上る。このゲームにかける同社の並々ならぬ決意がうかがえる。

 同社の雷軍CEOは、このオンラインゲームの目標を、10万人同時プレイとし、また来年には新作で100万人同時プレイを実現、中国オンラインゲームのパイオニアになると宣言する。その目標が「打倒韓国ゲーム」にあることは明白だ。

 また、この「剣狭情縁」の市場投入で、中国メーカーの対韓国ゲーム包囲網も期待される。現に中国では、オンラインゲーム会社が次々に設立されている。しかしその多くは、コアコンピタンスを有しておらず、競争力として劣るものばかりであるという。

 業界筋は、「ユーザーに対するサービスと経営管理能力がなければ市場では生き残れない厳しい世界」と指摘する。すでに市場に深く根付いた「韓国ゲーマー」の牙城崩しは、そう容易ではないようだ。(サーチナ・有田直矢)
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