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米ベリタス 日本市場向けに「パートナー戦略」開始 ストレージベンダーから脱皮へ

2003/10/20 19:35

週刊BCN 2003年10月20日vol.1011掲載

 米ベリタスソフトウェアは、同社が今年6月に提唱した「ユーティリティ・コンピューティング」戦略を実現するため、日本で10月から本格的な販売攻勢をかける。ストレージ管理ベンダーのイメージが強い同社は、総合ベンダーへの脱皮を図るため、今後も積極的に企業買収を行っていくほか、システム構築のノウハウをもつシステムインテグレータとの「パートナー戦略」を強化する方針だ。同社の戦略では、ストレージやサーバー、アプリケーションなどについて、それぞれの可用性やパフォーマンスを改善して管理の自動化を実現する。

 同社のソフトを導入することで、ストレージやサーバーのリソースなどにシステム障害が起きそうな時に予防検知が働き、事後処理を自動的に行う。IBMやヒューレット・パッカード(HP)が同様の戦略を提唱しているが、「IBMのeビジネス・オンデマンドは、5、6年先に実現するもの。当社が提供するソリューションは、企業が抱えるシステム統合の悩みをすぐに解決できる」(マーク・ブレグマン・エグゼクティブバイスプレジデント=写真)と、IBMとHPのユーティリティ戦略とは一線を画していることを強調する。

 同社は今年6月、アプリケーションのレスポンスタイム監視ツールをもつ米プリサイス・ソフトウェア・ソリューションズを買収。プリサイスの製品をベースに「ベリタス I3」日本語版を年内に発売する。このソフトは、システム障害発生時にトラブルを自動で解決しパフォーマンスを最適な状態にする。今回の戦略に向けた一連の企業買収や製品のラインアップなどが一段落したことを受け、同社は市場拡大戦略を開始。日本では販路拡大を目指した包括的なパートナー支援プログラム「ベリタスパートナープログラム(VPP)」を開始した。

 同社日本法人の木村裕之社長は、「これまでは、当社製品をOEM(相手先ブランドによる生産)提供するIT企業との関係を築いてきたが、今後はシステム構築やソフト開発などが得意な国内IT企業と販売代理店関係を作る」としている。VPPは、販売実績や在籍認定資格者に応じてエリート、プレミア、セレクトの3プログラムレベルで構成しており、加入企業に対して営業・技術支援を行うほか、製品情報や教育、評価ソフトの提供、同社内施設でのシステム連係検証――などのサービスを提供する。

 VPPには現在8社が加盟しているが、これを2004年1月までに30社、05年1月までに100社を目標に加入社を増やしていく考えだ。ブレグマン・バイスプレジデントは、「当社は手持ちのキャッシュが03年第2四半期で24億ドルと潤沢なため、今後も企業買収を積極的に行うほか、技術提携も戦略的に拡大する」と、さらなる市場拡大を目指す意向でいる。
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