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JASIPA 来年4月めどにNPO法人化 全国規模の組織づくりを急ぐ

2003/11/24 19:37

週刊BCN 2003年11月24日vol.1016掲載

 中堅・中小IT企業の相互協力と協業により新規ビジネスの創出を目指す会員組織、日本システムインテグレーション・パートナーズ・アソシエーション(JASIPA、和知哲郎理事長=メディアミックス・プロジェクト代表取締役=写真)は、来年4月をめどにNPO(民間非営利団体)法人化したうえで、来年度末(2005年3月末)までに、全国の拠点数を現在の4拠点から10拠点に増やす。これにより、全国規模でビジネス活動の円滑化を図る。

 JASIPAは主に中堅・中小のソフト開発会社約60社からなる業界団体。現在、東京本部をはじめ北海道、九州、沖縄の4拠点に組織を置いている。それぞれ地場のソフト開発会社が中心となり、大手ITベンダーとの同行営業などの協業を進めている。そんななか、組織の運営体制をより強化することを目的に、来年4月をめどにNPO法人へと組織替えする。名称は現行の「JASIPA」と同じになる見通し。

 会員企業は現在60社だが、今年度末(04年3月末)までに100社に増える見込みで、将来的には150社規模にする計画だ。和知理事長は、「全国47都道府県に最低2社以上の参加企業を募り、来年度末までに全国で10ブロックに拠点をつくる。これにより、大手ITベンダーとの協業体制を強化し、地元密着の営業で仕事を獲得しやすい体制をつくる」と話す。JASIPAの会員数は、現在首都圏に約40社、関西圏に10社弱と、大都市圏に集中する傾向が強いが、これを全国的な組織へと拡充する。

 中国など海外でのソフト開発が進んだことで、ソフト開発単価が下落傾向にあり、ソフト開発会社は新しいビジネスモデルを模索している。JASIPAでは、「NECや富士通などの大手ITベンダーからの受注を待つのではなく、ソフト開発会社側から得意分野を積極的に大手ITベンダーや顧客企業に提案することで、能動的に受注を獲得する体制をつくる」ことを目標に掲げる。

 全国10ブロックの拠点では、3か月に1回のペースでテレビ電話による「全国交流会」を開催。各拠点の会場には会員同士の交流のみならず、地場の会員会社が開発したソフトウェア製品や情報システムを展示し、地元の有力顧客や大手ITベンダーらを招待する。商談の機会を増やすことで、新規案件の獲得につなげる考え。これまでは、東京だけでしか定期的な交流会を開いてこなかった。

 NPO法人化した後は、事務局経由で会員各社が開発したパッケージソフトを市販価格よりも割安で、会員内に流通させる仕組みをつくる。流通に際しては、事務局が手数料収入を得られる仕組みをつくり、安定継続が可能な体制をつくる。将来的には、JASIPAの知名度を高め、「JASIPA会員」を名乗ることで取引先や顧客に安心感を与えられるよう広報活動に力を入れる。会員各社が開発したパッケージソフトは、「JASIPA認定パッケージ」として認定しており、すでに20種類弱のパッケージソフトが集まった。JASIPAの認知度を高めることで、これらパッケージの流通促進にも結びつける。
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