富士通(黒川博昭社長)がウェブを通じた販売に本格的に乗り出す姿勢を見せている。一般紙に低価格を前面に打ち出した新聞広告を掲載。ウェブを通じた直販によりユーザーに納品する。新聞広告に安いキャンペーン価格を提示し、ウェブ販売するのは、急成長を遂げるデルのパソコン事業を支える手法の1つで、富士通はデルと真っ向から対抗する姿勢を示したものといえる。今回の施策が成功すれば、一気にウェブ直販を拡大させる可能性もある。

 富士通は、昨年5月に「バリューライン」と呼ばれる製品を用意。同10月には第2弾として96モデルを用意し、ウェブ販売向けの専用製品として直販を行っている。

 同製品は、デルへの対抗を強く意識してラインアップしたもので、パートナールートを通じて販売する通常の製品とは異なり、コストパフォーマンス重視型の製品と位置づけられている。

 しかし、通常のリストプライスではデルに比べて遜色がないものの、デルが仕掛ける低価格キャンペーンの製品に比べると価格に大きな差が出ており、この点での格差是正が課題となっていた。

 富士通では昨年後半から新聞広告を通じてバリューラインの告知を進めてきたが、キャンペーン価格などを打ち出しておらず、デル対抗を鮮明に打ち出す日本ヒューレット・パッカード(日本HP)や日本アイ・ビー・エム(日本IBM)とは一線を画していた。

 だが、ここにきて同社は、デル対抗の価格を前面に打ち出したキャンペーンを開始し、より戦略的な価格による展開を開始する。

 1月下旬に、バリューラインの製品のなかから、5万9800円の低価格製品をはじめとする期間限定のキャンペーン製品の広告を新聞に掲載。ウェブを通じた販売を加速させる。

 富士通の幹部は、「今回はあくまでも実験的な取り組み」と話すが、今回の反応が良ければ、本格的に乗り出すことになる。

 富士通では、2003年度第3四半期(03年10-12月)において、外資系メーカーの積極的な低価格戦略の影響を受けて、パソコンの出荷実績が当初計画を下回るという事態に陥り、年間出荷計画を見直すという状況にある。

 また、パソコン事業で前年比40%増という高い成長率を達成している日本HPではパソコン出荷の約55%、日本IBMでも同様にパソコン出荷の約50%がウェブを通じた販売となっており、富士通としても見逃すことができない領域となってきた。

 同社のパソコン事業における営業利益率は2-5%と見られており、営業利益率9%のデルとは大きな差がある。価格戦略では不利との指摘もあるなかで、サプライチェーンシステムの強化とともに、国内生産による物流コストでのメリット、品質の高さでどこまで対抗できるかも焦点といえる。

 加えて、同社のパソコン販売を支えてきたパートナーとの良好な関係をどう維持するかもカギを握る。